Strategyによるビットコインの追加購入観測が後退している。マイケル・セイラー会長がXに自社のビットコイン保有チャートを投稿したことを受け、市場では買い増しではなく、追加売却の可能性を意識する見方が広がった。平均取得単価が7万5476ドル、損益率がマイナス15.41%、評価損が約100億ドルに達していることも、こうした受け止めの背景にあるとみられる。
ブロックチェーンメディアのU.Todayが12日(現地時間)に報じたところによると、セイラー氏はX(旧Twitter)に自社のビットコイン・ポートフォリオのチャートを投稿し、「Orange dots tell only part of the story」と記した。
市場が注目したのは、そのメッセージの含意だ。セイラー氏はこれまで、相場下落局面でも買い姿勢を鮮明にし、強気の見方を崩してこなかった。今回は従来と同様の購入チャートを示しながらも、明確な買いシグナルは出さず、別の意図をにじませるような表現にとどめた。このため市場では、新規購入を示す投稿というより、追加売却を示唆するものとして受け止められている。
投稿された画面には、足元のポートフォリオ損益も表示された。平均取得単価は7万5476ドルで、損益率はマイナス15.41%。評価損は約100億ドルに達する。
市場の一部では、Strategyはポートフォリオの損失拡大に加え、ドルの流動性も逼迫しており、これまでのような積極的な買い増しに踏み切る余力は限られるとの懸念も出ている。
こうした警戒感は、最近の実際の売却事例とも重なる。CryptoQuantのアナリスト、マルトゥン氏はStrategyの「買いと売り」のチャートを公開し、「底値圏で追加売却が出るという意味なのか」と問いかけた。データ上では、これまでオレンジ色で示されていた購入ポイントが、赤色の売却表示へと置き換わる流れが確認されたという。
直近で最大の取引は、3588BTCの売却だった。売却時点はビットコインが約6万ドル近辺まで下げた局面で、損失を確定した取引だったとされる。このため、自主的なポートフォリオ調整というより、現金確保を優先した動きだった可能性が指摘されている。
背景として取り沙汰されているのが優先株「STRC」だ。固定12%の利回りをうたう構造で、利払いには法定通貨の現金が必要になる。今回の売却も、その資金手当ての過程で行われたとの見方が出ている。
この変化は、Strategyがこれまで市場で果たしてきた役割にも影響する。同社は下落局面で相場を下支えする買い手とみなされてきた。投資家の間では、弱気相場でもセイラー氏がビットコインを買い増し、市場を支えるとの見方が強かった。
一方、現在も同社のバランスシートには84万3775BTCが残るとされる。ドルの準備資金が減少するなかで、創業者であるセイラー氏が明確な方向性ではなく、遠回しなシグナルを発しているとの見方も出ている。
市場の関心は、今回の売却が一時的な対応にとどまるのか、それとも今後も繰り返される運用手法として定着するのかに移っている。次に売却が行われる場合、どの価格帯で、どの程度の規模になるのかも重要な焦点だ。
今回のシグナルは、Strategyのビットコイン保有量そのものより、現金流動性の方が重要な変数として浮上していることを示している。市場は購入チャートそのものよりも、STRCの負担と実際の売却パターンの変化を注視している。