ロス・ガーバー氏。写真=Shutterstock

Tesla株の主要投資家として知られる資産運用会社Gerber Kawasakiのロス・ガーバー氏が、マイケル・セイラー氏への批判を強めている。ガーバー氏は、Strategyによる借り入れを伴うビットコイン買い増しが市場をゆがめ、ビットコインのエコシステム全体に悪影響を及ぼしていると主張している。

ブロックチェーンメディアのU.Todayが12日付で報じたところによると、ガーバー氏は、セイラー氏の一連の行動がビットコイン市場の健全性を損ねているとの見方を示した。

今回の応酬の発端となったのは、セイラー氏が公開したAI生成動画だ。動画のタイトルは「武器を持つ権利」。中世の甲冑をまとったセイラー氏が登場し、たき火の前でオレンジを焼いたり、クマと戦ったりする場面が盛り込まれている。

もっとも、市場の関心は動画の内容そのものよりも、これに反応したガーバー氏の強い批判に集まった。

ガーバー氏がセイラー氏を公に批判するのは今回が初めてではない。6月初旬にも、セイラー氏が「ビットコインは絶対に売らない」と発言した後、市場を動揺させているとして問題視していた。

当時、ガーバー氏は「絶対に売らないと言いながら、市場にラグプルを仕掛けている」と指摘。価格下落が進み、投機筋の清算を招く負の連鎖につながりかねないと訴えていた。

さらにガーバー氏は、足元のビットコイン相場の変動拡大についても、大口の企業保有者の責任が大きいとの認識を示した。強気相場で十分な利益を得たにもかかわらず、なお利益を追求する姿勢が市場不安を増幅させているという。

6月末には、Strategyの長期的な存続可能性にも公然と疑問を呈した。

ガーバー氏がとりわけ問題視しているのは、Strategyの事業構造だ。同氏は、同社が負債を発行してビットコインを購入し、それを基に再び資金調達を行う手法について、構造的に脆弱だとみている。

ガーバー氏は「ビットコインを買い集めるだけでは新たな価値は生まれない」とした上で、借り入れに依存した購入スキームは、かえってリスクを高めていると指摘した。

こうした批判の背景には、Strategyのビットコイン保有戦略が、単なる財務運用の範囲を超え、市場価格に影響を及ぼし得る規模に拡大しているとの問題意識がある。ガーバー氏は個人投資家保護の観点からも、現在の手法に否定的な立場を示してきた。

セイラー氏の長期保有方針と、実際に市場へ与えている影響との間に乖離がある――。これがガーバー氏の基本的な見立てだ。

一方でガーバー氏は、デジタル資産への投資手段としては上場投資信託(ETF)の方が適切だと主張している。5月には、キャピタルゲイン課税の繰り延べや資産エクスポージャーの管理のしやすさを理由に、「最良のキャピタルゲイン回避戦略はアクティブETFを保有することだ」と述べた。

ETFの内部メカニズムを活用すれば、キャピタルゲインを事実上継続的に繰り延べられるとも説明している。

今回の論点は、ビットコインへの投資手法をどう捉えるかにある。企業財務を活用した積極的な買い増し戦略を推し進める立場と、規制下にある伝統的な金融商品を通じてエクスポージャーを取る方が安定的だとする立場が対立している格好だ。

Strategyの負債依存型のビットコイン購入スキームと、それに対する市場の受け止め方は、今後も注目を集めそうだ。

なお、ガーバー氏は今回のやり取りの中で、「笑える。いずれこの冗談も終わる。驚くべきことに、ビットコインを作り上げた人たちが、同時にそれを壊している」との趣旨の投稿も行っている。

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