Bitcoin 写真=Shutterstock

Zcash共同創業者のイライ・ベン=サッソン氏が、Bitcoinの総発行上限である2100万BTCを長期的に見直すべきだと提起した。秘密鍵の喪失によって利用不能となるBitcoinが増えれば、市場で実際に流通し得る供給量は徐々に減少するため、固定上限に代わる新たな通貨政策が必要になる可能性があるという。

ブロックチェーンメディアのU.Todayが8日(現地時間)に報じた。ベン=サッソン氏は、Bitcoinの固定的な供給上限が長期的には実態に合わなくなる可能性があると指摘した。

同氏が最大の論点として挙げたのは、秘密鍵の喪失だ。Bitcoinの総発行量は2100万BTCに制限されているが、鍵を失ってアクセスできないBitcoinが増えれば、市場で流通する供給量は実質的に細っていく。こうした現象は長期的に避けにくい構造的な問題だとしている。

Bitcoinは、サトシ・ナカモトが設計した通貨発行の仕組みに基づき、総発行量を2100万BTCに制限している。供給を増やさず希少性を維持することが中核にあり、価値を支える基本設計とされてきた。ベン=サッソン氏の提案は、この前提の再検討を促すものと受け止められる。

同氏は、絶対的な供給上限を維持するよりも、明確な発行ルールを持つ新たな通貨政策の方が現実味を持つ可能性があると述べた。例として、年最大4%の発行率を適用し、流通可能な供給量を一定の水準に保てれば、市場の流動性を確保しつつ、通貨政策の予見可能性も維持できるとした。

もっとも、こうした提案が実際にBitcoinネットワークへ反映される可能性は高くない。供給構造を変えるには、開発者が改善案を策定し、実装コードを用意したうえで、コミュニティやマイナー、ノード運営者の幅広い合意を得る必要がある。さらに、変更内容をBitcoin Coreに反映し、ネットワーク上で有効化する手続きまで進めなければならない。

とりわけ供給上限の変更は、既存ルールと互換性のないハードフォークにつながる公算が大きい。この場合、参加者の大半が新ルールを受け入れる必要があり、合意に至らなければチェーンが分岐する可能性もある。

市場では以前から、秘密鍵の喪失による実質的な供給減少が問題視されてきた。一方で、その解決策としてBitcoinの中核的価値とされる2100万BTCの上限自体を見直す案には、なお強い抵抗感がある。

今回の提案は、Bitcoinの希少性と実流通量の減少という2つの論点を改めて浮き彫りにした。ただ、コミュニティの保守的な姿勢や合意形成のハードルの高さを踏まえると、供給構造の見直しに直結する可能性は限定的とみられる。

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