コンソールゲーム市場で、パッケージ販売からデジタル販売への移行が鮮明になっている。2009年にNintendoの岩田聡元社長が示した「完全な置き換えには20年ほどかかる」との見通しが、Sonyのディスク生産終了計画やNintendoの販売構成の変化を受け、あらためて注目を集めている。
米ITメディアのTechRadarが8日(現地時間)に報じたところによると、岩田聡氏は2009年の投資家向け質疑応答で、デジタルゲーム販売がパッケージ流通を完全に代替するまでには約20年を要するとの認識を示していた。
この発言が再び注目されている背景には、Sonyの方針転換がある。Sonyは2028年1月から、新たなPlayStation向けゲームディスクの生産を停止する計画を公表した。デジタル販売比率の上昇を受け、収益性の高いダウンロード販売を軸とする事業構造への転換を進める狙いがあるとみられる。
当時の岩田聡氏は、デジタル化が急速に進むとみる市場の楽観論に慎重な姿勢を示していた。消費者が長年親しんできた購入方法を変えるには時間がかかり、技術の進歩よりも消費行動の変化の方が遅いとみていたためだ。
その発言から年月を経た現在、市場の動きはこの見通しにおおむね沿う形となっている。Nintendoは最近公表した業績で、デジタルゲーム販売がパッケージ販売を初めて上回ったと明らかにした。長くパッケージ販売の比重が高かった同社でも、販売構成の変化がはっきり表れ始めた形だ。
調査会社Ampere Analysisの集計も、同様の傾向を示している。PlayStation 4が発売された2013年時点で、Sonyプラットフォームにおけるデジタルゲーム販売比率は13%にとどまっていたが、2025年には約80%まで上昇したという。10年余りで市場構造が大きく変わったことになる。
コンソール各社の戦略も変わりつつある。業界では、次世代PlayStationはディスクドライブを標準搭載しない可能性が高いとの見方が出ており、Xboxもデジタル中心の戦略を強めると伝えられている。
一方、Nintendoは主要コンソールメーカーの中では、比較的パッケージ戦略を維持してきた企業とみられている。ただ、デジタル販売比率が着実に上昇している以上、長期的にはこうした市場変化の流れを避けるのは難しいとの見方もある。
業界では、デジタル流通の比率が2028年ごろにほぼ100%に達する可能性を指摘する声もある。Sonyがディスク生産終了に踏み切ったのも、こうした市場トレンドを織り込んだ判断だという分析だ。
今回の変化は、単なる技術進歩ではなく、消費習慣の変化が産業構造を動かした点で意味が大きい。岩田聡氏が2009年に示した「20年」という時間軸は、デジタル技術そのものよりも、購入方法の転換に時間を要することを見通したものだった。Sonyのディスク生産終了計画とNintendoの販売構成の変化は、その長期見通しが現実になりつつあることを示している。