米ロボットAIスタートアップのGeneral Intuitionは、ロボットごとに個別最適化したAIを開発する現在の手法が、将来的には複数機種で共通利用できる汎用基盤モデルへ移行する可能性が高いとの見方を示した。ロボット本体の製造よりも、「フィジカルAI基盤モデル」を握る企業が競争力を左右し得るというのが同社の主張だ。
米TechCrunchが8日付で報じたところによると、General Intuitionは長期的に見て、機体ごとに別々のAIモデルを構築する方式は持続しにくく、汎用モデルが主流になる可能性があると説明した。
同社の中核戦略は、実機ロボットのデータを大量に集めることではない。空間や時間、移動、相互作用に関する人間の直観を学習できる高品質なデータを用い、汎用性の高いモデルを構築する点にある。
最高経営責任者(CEO)のピム・デ・ウィッテは、業界が依然として個別の実装や環境、ロボットごとに最適化したAI開発に注力していると指摘した。その上で、汎用モデルが定着すれば、そうした作業の多くは重複になる可能性があると述べた。
この考え方に基づき、同社は学習データとして数百万時間規模のビデオゲーム関連データを活用した。ゲーム内で利用者が状況に応じてどの入力操作を行ったかを含む行動データを通じて、空間と時間に関する推論能力を学習させたとしている。
ピム・デ・ウィッテと主要投資家のビノド・コスラは、こうした行動データが、ロボットが現実世界を理解するうえで必要な基礎的な直観を形成する重要な要素になるとみている。
同社は、学習済みモデルを実機ロボットにも適用した。公開デモでは、汎用モデルを実機データ8分で微調整した後、四足歩行ロボットを動作させることに成功したという。LiDARや特殊センサーを使わず、前方カメラだけでオフィス環境を移動したとしている。人の往来や物体配置の変化がある環境でも、追加学習なしで動作するゼロショット性能を示したと説明した。
ピム・デ・ウィッテは「製品そのものはモデルの汎化能力だ」と述べ、「空間と時間に関する基本的な推論能力を確保できれば、企業は数十万時間分の実機ロボットデータを集める必要がなくなる」と強調した。実際に必要なデータ量は「数分で十分だ」とも語った。
こうした戦略は資本市場でも評価を集めている。General Intuitionは最近、企業価値23億ドルで3億2000万ドルを調達した。調達資金はロボット製造ではなく、フィジカルAI基盤モデルの開発に重点投入する計画だ。
事業方針も一般的なロボットメーカーとは異なる。自社のヒューマノイドや産業用ロボットを販売するのではなく、他社のロボット企業が共通利用できるAI基盤モデルを提供するプラットフォーム企業を目指す。
ピム・デ・ウィッテは「自動運転車の会社を作るつもりはない」としたうえで、「他社が自動運転車会社を立ち上げることを10倍容易にするのが目標だ」と説明した。
業界では、このアプローチがロボット産業の競争軸をハードウェアからソフトウェア、そしてデータへ移す可能性を示すものとして注目されている。一方で、General Intuitionのモデルが、メーカーや機種の違いを超えて、実際の産業現場でも同水準の汎化性能を発揮できるかが今後の課題となる。