ビットコインが再び6万ドルの節目に近づき、相場の下押し圧力が強まっている。原油高による利下げ期待の後退、世界的な金利不安、日本国債市場の動揺に加え、Strategyの追加売却観測も重なり、投資家心理を冷やしている。
8日、Cointelegraphによると、ビットコインは同日3.5%下落した。市場では、原油高、日本の債券市場を巡る不安、Strategyの売却問題が主な下落要因として意識されている。
ビットコインは前日に6万4500ドルの回復を試したが、上値抵抗線を突破できず、軟調な値動きが続いた。ハイテク株中心のNASDAQ100先物も下落したものの、株式市場が下げ幅の一部を取り戻したのに対し、ビットコインは6万2000ドル近辺でも明確な反発を示せなかった。市場では、マクロ要因に加え、暗号資産市場固有の売り圧力も重なっているとの見方が出ている。
まず重しとなったのが原油高だ。ブレント原油は足元で1バレル68ドルから74ドルまで上昇した。米国とイランの覚書が事実上白紙となり、中東の供給不安が強まったためだ。ドナルド・トランプ米大統領も、米国によるイラン国内施設への攻撃後、両国間の合意は終了したとの認識を示し、緊張が高まった。
原油高はインフレ懸念を強め、米連邦準備制度理事会(Fed)の利下げ期待を後退させる要因となる。実際、市場では9月までの追加引き締めの可能性を約69%織り込んでおり、1カ月前の約42%から大きく上昇した。金利負担が重くなるほど、ビットコインを含むリスク資産への選好は弱まりやすい。
日本国債市場の不安定な動きも投資家心理を揺さぶっている。日本の10年国債利回りは約30年ぶりの高水準まで上昇した。日本政府が経済成長目標を強調するなかで、日本銀行の政策独立性が弱まるとの懸念が強まったためだ。日本は米国債の最大の海外保有国であることから、日本の債券市場の変動が世界の金融市場に波及する可能性も指摘されている。
地政学リスクや貿易摩擦への懸念も相場の重しだ。トランプ大統領は北大西洋条約機構(NATO)首脳会議で、防衛費問題を理由にスペインとの貿易停止を主張し、世界的な貿易摩擦への警戒を再び強めた。主要国間の緊張が一段と高まれば、リスク資産全般の投資心理がさらに冷え込むとの見方が広がっている。
暗号資産市場の内部要因としては、Strategyのビットコイン売却が需給面で直接的な負担になっている。Strategyは最近、約2億1600万ドル相当のビットコインを売却したと公表した。今回の売却が、既存の12億5000万ドル規模のビットコイン資金化計画とは別に実施された点が、投資家の警戒感を強めた。
同社は、優先株配当や債務返済など多額の資金需要を抱える。年間の優先株配当負担は約17億6000万ドルに上り、2027年以前に償還請求が可能な転換社債の残高も38億ドルを超える。市場では、こうした財務構造を踏まえると、追加のビットコイン売却の可能性を完全には排除できないとの見方が出ている。
規制面でも追い風は乏しい。インド準備銀行は暗号資産関連活動を事実上制限する政策を支持しており、銀行のデジタル資産へのエクスポージャーを遮断すべきだとの立場を維持している。インドの税務当局も、暗号資産を通じた脱税の可能性に警鐘を鳴らしており、世界的な規制強化懸念が改めて意識されている。
市場では当面、6万ドルの維持が最大の焦点になるとみられている。マクロ経済の不確実性、Strategyの追加売却観測、世界的な規制リスクが続くなか、ビットコインが短期間で強い上昇基調を取り戻すのは容易ではないとの見方が優勢だ。投資家の関心は、6万ドルを守れるかどうかに加え、マクロ環境の変化や機関投資家の需給動向に向かっている。