NVIDIAはGPUに加え、AIエージェント運用を支えるサーバー中核部品へ事業領域を広げている。写真=Shutterstock

NVIDIAがデータセンター向けCPU市場に本格参入する。次世代CPUプラットフォーム「Vera」の初の採用先としてAI検索スタートアップのPerplexityを確保し、IntelとAMDが主導してきたサーバー向けCPU市場に切り込む。GPUに加えてCPUも自社で手掛けることで、AIインフラ全体の取り込みを狙う構えだ。

8日付のCryptopolitanによると、NVIDIAは次世代データセンター向けCPU「Vera」の最初の顧客としてPerplexityを獲得した。

背景には、AIデータセンターでCPUの役割が増しているとの見方がある。NVIDIAは、AIモデルを実際のサービスとして運用する局面で、アプリケーション実行やコード処理、データ移動を担うCPUがボトルネックになり得るとみている。CPU処理が追いつかなければGPUが待機する時間が増え、システム全体の効率低下につながるためだ。

Perplexityは次世代のAI運用環境にVeraを導入する計画だ。ネイト・カップ副社長は、社内テストの結果、Veraが自社のAIサービスに最も適した選択肢だったと説明した。

両社の共同試験では、Veraは既存のサーバー向けCPUに比べ、関連処理を約1.5倍高速に実行したという。コードリポジトリを複製し、独立したサンドボックス環境でテストを実行するAIエージェント業務で差が確認された。NVIDIAによれば、こうした処理は従来のx86ベースのサーバープロセッサ比で約1.5倍、並列サンドボックス実行では最大1.9倍の性能を示した。

もっとも、この結果はPerplexityとNVIDIAによる共同試験に基づくもので、独立した第三者機関による検証はまだ行われていない。

NVIDIAがCPU市場に参入する背景には、AIサービスの利用形態の変化もある。回答を生成するだけのAIチャットボットと異なり、AIエージェントは文書検索、コード実行、外部ツールの呼び出し、結果の評価を順次処理する。このため、GPUだけでなくCPUの単一スレッド性能やデータ処理能力が応答速度を左右しやすい。

NVIDIAは、数千のAIエージェントが同時に稼働する次世代データセンターでは、CPU性能が競争力を左右する中核要素になるとみている。ジェンスン・フアンCEOも6月に台北で開かれたCOMPUTEXでCPU事業の拡大方針を明らかにし、PC向けおよびサーバー向けCPUの展開を「CPU市場を再創造する戦略」と位置付けた。

NVIDIAは世界のCPU市場規模を約2000億ドル(約30兆円)と試算する。Reutersは、VeraのCPUが今会計年度に約200億ドル(約3兆円)の売上高を計上する可能性があるとの見方を伝えた。

今回の参入は、IntelとAMDが握ってきたサーバー向けCPU市場への正面攻勢とも受け止められている。これまで同市場はx86アーキテクチャのIntelとAMDが主導してきたが、近年はカスタム設計が可能なArmベースのプロセッサが大手クラウド事業者を中心にシェアを伸ばしている。VeraもArmベースの設計を採用し、AIワークロード向けに最適化した性能を訴求する。

市場も反応した。7日のYahoo Financeによると、NVIDIA株は196.93ドル(約2万9540円)と前日比0.7%上昇した一方、AMDとIntelはそれぞれ6.5%、9.7%下落した。ただ、市場では両社の株安について、Vera発表だけでなく、Samsung Electronicsを巡る材料や半導体セクター全体の投資家心理の悪化が重なったとの見方も出ている。

NVIDIAは後継CPUの開発も進めている。次世代サーバープロセッサ「Regel」はArm v9.2アーキテクチャをベースに開発中で、将来的には「Rosa」プラットフォームに搭載する予定だ。コア当たり性能の一段の向上を見込む。

業界では、VeraがAIデータセンター向けCPU市場で実際の競争力を示せるかが最大の焦点とみられている。試験導入後の顧客拡大に加え、第三者による性能検証の結果が、NVIDIAのCPU事業の成否を左右しそうだ。

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