写真=Ford

Fordは、2027年に投入予定の3万ドル級電動ピックアップについて、従来の「中型」から「小型」へと位置付けを見直した。低価格と生産効率、車内空間の確保を武器に、大衆向けEVピックアップ市場の開拓を急ぐ構えだ。

EVメディアのElectrekが8日(現地時間)に報じたところによると、Fordは工場投資計画の説明の中で、この新型車を「まったく新しい、手ごろな価格の小型電動ピックアップ」と表現した。これまで一貫して「中型電動ピックアップ」としてきた説明を改めた形で、車体サイズや製品ポジションを実態に即して整理し直した可能性がある。

このモデルは、Fordが新たに開発したEV専用のUEV(Universal Electric Vehicle)プラットフォームを初めて採用する量産車だ。2027年の投入を目指しており、価格は約3万ドル(約450万円)からになるとみられている。

Fordは直近の第2四半期決算発表で、一部車種の生産終了に伴う販売減少について説明する中、米ルイビル組立工場を「手ごろな価格の小型電動ピックアップ」の生産拠点に転換していると明らかにした。あわせて、同工場ではUEVプラットフォームをベースとした小型4ドア電動ピックアップの生産に向け、設備更新を進めているとした。

車体サイズについては、最近目撃されたテスト車両からも手掛かりが見えてきた。カモフラージュを施した試験車は、大型SUV「Expedition」と並んだ状態で確認されており、従来想定されていた中型ピックアップより明らかに小さく、全高も低い車体であることがうかがえる。業界では、Fordが当初計画より小さいセグメントに軸足を移した可能性に注目が集まっている。

車名は公表されていないが、Fordが最近「Ranchero」の商標を出願したことから、過去の車名をEVピックアップとして復活させる可能性も取り沙汰されている。

新型車は、Fordの次世代EV戦略を象徴するモデルでもある。同社はコスト低減に向け、リン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池とメガキャスティングを採用し、低減したコストを販売価格に反映する方針だ。

生産方式も大幅に簡素化する。Fordは新プラットフォームについて、主要な構造用鋳造部品を2点に絞る設計だと説明している。現在「Maverick」の生産で用いている146点の構造部品と比べると大幅に単純化された構造で、部品点数を減らすことで生産性の向上とコスト競争力の確保を狙う。

室内空間の広さも訴求点の1つだ。平坦なバッテリーパック構造により、Toyota「RAV4」より広い室内空間を確保できるとしている。比較対象は荷台やフロントトランクを除く乗員空間ベースだという。

航続距離は少なくとも300マイル(約483キロ)超を目標に掲げる。Fordは3万ドル前後の価格帯と300マイル超の航続距離を両立させ、大衆向けEVピックアップ市場の需要取り込みを狙う考えだ。

業界では、このモデルがFordのEV戦略における転換点になるとの見方が出ている。UEVプラットフォーム初の量産車であり、価格競争力を前面に打ち出す初の電動ピックアップとなるだけに、発売時点での最終価格や車体サイズ、商品性、生産効率が競争力を左右する要素となりそうだ。

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