写真=Oracleの対外標準・コミュニティエンゲージメント担当バイスプレジデント、ヘダー・ベンキュラ氏

Oracleは、オープンソースデータベース「MySQL」でコミュニティ主導の開発体制強化を進めている。Community Editionへの機能開放や脆弱性情報の公開拡大を進めるとともに、ガバナンス体制も刷新した。10月をめどに、Oracleと外部開発者がGitHub上で協業できる体制を整える。

Oracleの対外標準・コミュニティエンゲージメント担当バイスプレジデント、ヘダー・ベンキュラ氏は「今年1月にボストンでMySQLのコミュニティ戦略を初めて示して以降、日本、韓国、台湾を回り、アジアのコミュニティと直接対話してきた」と述べ、コミュニティを軸にしたエコシステム拡大を強調した。

同氏によると、MySQLのコミュニティ戦略は大きく3つの柱で構成される。Community Editionへの新機能投入、開発プロセスの透明性向上、そしてコミュニティを通じた貢献の拡大だ。

施策は3段階で進める。第1段階では、これまで有償顧客向けに限定していた機能の一部をCommunity Editionに開放し、透明性を高める。第2段階では、公式ガバナンス体制を導入し、コントリビューターの参加体験を改善する。第3段階では、Oracleと外部コントリビューターが同じ場で開発に参加できる環境を実現する。ベンキュラ氏は「現在は第2段階にあり、第3段階は10月ごろの完了を見込んでいる」と話した。

第1段階の主な成果として同氏が挙げたのが、4月に公開した「MySQL 9.7」だ。同氏は「MySQL 9.7は長期サポート版で、有償顧客向け機能の一部を初めてCommunity Editionに取り込んだ」と説明。あわせて、コントリビューターサミットを初開催し、Oracleとコミュニティメンバーが公開ロードマップを共同で策定する方向に進んでいるとした。ロードマップはGitHub上で公開している。

脆弱性情報の開示拡大も重点施策の1つだ。ベンキュラ氏は「これまでは有償顧客向けに四半期ごとのパッチ更新を提供してきたが、今後はCommunity Editionに関する脆弱性情報もWebサイトで公開していく」と述べた。

未解決バグの削減にも取り組む。今年1月以降に受け付けた未解決イシューは約2000件あり、5月までに約700件に対応したという。進捗は四半期ごとにコミュニティへ共有している。

現在進行中の第2段階では、公式ガバナンスフレームワークを導入した。コントリビューター、コミッター、プロジェクトリード、運営委員会の役割を明確化したという。

ベンキュラ氏は「コミッターとプロジェクトリードにはOracle社内だけでなく、Oracle外からも参加できる。運営委員会にはOracle、AWS、Google Cloudが初期メンバーとして参加し、MySQLエコシステム全体を統括する」と説明した。あわせて、脆弱性対応のための非公開グループも新設し、セキュリティ課題に共同で対応しているとした。

10月を目標とする第3段階では、Oracle側のコントリビューションやコミットもGitHub上で公開する。これにより、外部コントリビューターとOracleの開発者が同じ環境でプルリクエストやコードレビューを進められるようになる。

ベンキュラ氏は、MySQLでAI対応の強化も最優先課題の1つに位置付けていると明らかにした。「ネイティブなベクトル対応を検討しており、MCP統合もロードマップに盛り込んだ」としている。

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