XRP Ledger(XRPL)上で、AIエージェントが自律的に実行した取引件数が累計100万件を超えた。人手を介さず、AIが計算資源やデータ、各種サービスを購入して決済する利用が広がりつつあり、XRPとRipple USD(RLUSD)の活用範囲が送金用途からAI経済へと広がっている。
ブロックチェーン専門メディアのU.Todayが8日(現地時間)に報じたところによると、この実績はt54とXRP Ledger Foundationが公開した「XRPL AI Hub」で確認された。XRPL AI Hubは、XRPLベースのAIサービスと取引状況を集計するプラットフォーム。AIが直接処理した取引の累計が100万件を超えたという。
この数字は、AIを基盤とした暗号資産決済が実証段階を超え、商用化の初期段階に入りつつあることを示す指標とみられている。XRPL AI Hubに登録されたアクティブな事業者は121社だった。一方で、取引の多くは一部の中核サービスに集中した。
最も取引件数が多かったのは、分散型GPU計算サービス「Heurist Mesh」で、件数は40万4091件。AIエージェントが必要な計算資源を分単位で借り、モデル推論を実行するサービスだ。
これに「LucyOS」が続き、取引件数は36万7733件だった。LucyOSはAIオペレーティングシステム(OS)プラットフォームで、自律的に動作するAIエージェントがサービス購入や作業の調整を自動で実行できる環境を提供する。リアルタイムの構造化データを提供する検索サービス「AskSarf」も2万3076件を記録し、主要用途の一つとなった。
この3サービスだけで全体の77%超を占めた。一方、残る取引は数十のウォレットアドレスに比較的分散しており、1アドレス当たりの平均件数は約2400件だった。開発者が標準化された自律型AIエージェントを実サービス環境に投入し始めた兆候と受け止める向きもある。
今回の動きで注目されるのは、決済プロセスに人が関与していない点だ。t54が開発したx402プロトコルがXRPLの決済機能と連携し、AIプログラムが資産管理から支払いまでを直接処理できるようになった。GPU計算資源の利用料やデータ利用料、各種サービスの費用をAI自身が精算する仕組みが、実際の取引件数の拡大につながった。
XRPL側は、こうした用途がネットワークの特性とも相性がよいと説明している。XRP Ledger Foundationのベット(Vet)は「他のブロックチェーンでは、ネットワーク混雑時に手数料が大きく変動することがあるが、XRPLは低く予測可能な手数料を維持している」と述べ、AIサービスの運用コストを安定的に管理しやすい点を強みとして挙げた。
加えて、処理速度の速さやグローバルな流動性、24時間即時に資産交換できる分散型取引所(DEX)を標準搭載している点も、AI決済インフラに適した要素だとした。
足元では、AI決済の用途はGPUコンピューティング、AI OS、データ購入といった、AIエージェントが反復的に使うインフラサービスに集中している。これはXRPとRLUSDが投資対象にとどまらず、AIが自動で費用を支払う実際の決済手段として使われ始めたことを意味する。
XRPL AI Hubを共同開発したt54の共同創業者、チャンドラー・Fengは「開発はゆっくり進んでいるように見えたが、ある瞬間から一気に広がった」としたうえで、「すでに100万件を超えるAI取引が行われている」と明らかにした。
業界では、現在のGPU・データサービス中心の利用が、今後より幅広い産業へ広がるかどうかに関心が集まっている。AIが人に代わって経済活動を担う「自律型AI経済」が本格化すれば、XRPとRLUSDがその決済基盤の一角を担う可能性も指摘されている。