Strikeは、ビットコイン価格が大幅に下落してもマージンコールや価格連動の自動清算を行わないビットコイン担保ローンを発表した。担保の強制売却リスクを抑える設計が特徴で、LTV(担保掛目)は45%を上限とする。一方で、金利は年10.7〜14.2%と高めに設定し、満期は6カ月、延滞時の対応も厳格とした。
Cointelegraphが8日(現地時間)に報じた。弱気相場での担保清算リスクを抑える代わりに、高金利と短期返済を組み合わせた商品設計となる。
Strikeの最高経営責任者(CEO)、ジャック・マラーズ氏は、2025年5月に投入した同社初のビットコイン融資商品に対する顧客の反応を踏まえたものだと説明した。当時は、ビットコインが高値から安値ベースで54%下落する局面で清算が相次ぎ、急落時でも担保を維持できる仕組みを求める声が上がっていたという。
新商品の最大の特徴は、ビットコイン価格がどれだけ下がっても、価格下落そのものを理由に担保が自動的に処分されない点にある。マラーズ氏は「マージンコールはない。価格を基準とした清算もない。ビットコインがどれだけ下がっても、顧客のビットコインは動かない」と述べた。
その代償として、金利は高く、満期は6カ月と短い。返済は期限内に履行する必要がある。
融資条件は保守的に設計した。初期LTVの上限は45%で、ビットコイン10万ドルを担保に差し入れた場合、借入額は最大4万5000ドルとなる。
金利は既存のStrikeのビットコイン融資より高い水準となる。既存商品は年7.75〜11.25%だが、新商品は年10.7〜14.2%としている。
市場では、強制売却リスクを抑えた設計に注目が集まっている。ビットコイン投資家のフレッド・クルーガー氏は、市場急落時に顕在化するビットコインの構造的な課題の一つである強制売却を減らせる可能性があると評価した。
価格変動が直ちに清算につながるのではなく、実際の返済不履行が清算の判断材料になる設計へと重心を移した点も特徴だ。
Vibes Capital Managementの会長、ロブ・トッピング氏も、短期の流動性を必要とする利用者には適した商品だと評価する一方、年14%前後の金利は割高との見方を示した。
もっとも、価格変動に強い設計であっても、延滞リスクまでなくなるわけではない。返済期日を過ぎた場合、利用者は10日以内に支払うか、財務状況を説明するためStrikeに連絡する必要がある。
この期間を過ぎても返済できない場合、Strikeは延滞分の補填を目的に担保ビットコインを清算する可能性がある。マラーズ氏は、この商品を「清算防止」ではなく「ボラティリティ防衛」と位置付けた。
こうした設計は、暗号資産担保融資市場が抱える信頼の問題とも重なる。暗号資産融資プラットフォームLednは6月の報告書で、調査回答者の88%が暗号資産担保融資を検討し得ると答えた一方、実際の利用者は14%にとどまったとした。
Lednは、この乖離の主因として、市場のボラティリティの大きさと商品への信頼不足を挙げている。
ビットコイン価格の変動性は、融資需要の拡大を阻む要因としてたびたび指摘されてきた。マラーズ氏によると、ビットコインは過去12年のうち10年で30%以上下落し、2014年以降は50%超の下落も4回あった。
直近1年でも、ビットコインは2025年10月の過去最高値(ATH)12万6080ドルから、6月末には5万8190ドルまで下落し、下落率は54%に達した。
Strikeのビットコイン担保ローンは、米国の大半の州で個人・法人のいずれも利用できる。新規借り入れに加え、借り換えやローンの一本化にも対応する。
最低融資額は州によって異なるが、個人向けは1万ドルから。一部の州では、法人顧客が5000ドルから利用できる。
ビットコイン担保融資市場には、Binance、Coinbase、Nexo、Xapo Bankなども参入している。Strikeは、価格急落局面での強制清算負担を軽減する方向に商品設計を見直し、差別化を図った格好だ。
もっとも、実際に利用が広がるかどうかは、高金利と厳格な返済規律を市場がどこまで受け入れるかに左右される。
マラーズ氏は、ビットコインを長期保有する投資家であれば、その保有分を担保に借り入れを行い、返済を継続することで保有資産を維持できるとの考えを示している。