Bitcoin現物ETFに、8週間続いた資金流出の流れが和らぐ兆しが出てきた。直近3営業日では5億1000万ドルの純流入を記録した。Bitcoin価格も6万2000ドル前後まで持ち直しているが、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ時期を巡る不透明感は依然として重荷となっている。
Decryptが8日付で報じたところによると、米国のBitcoin現物ETFは先週金曜日以降、3営業日連続で純流入となった。
今回の流入は、5月初旬から続いていた解約拡大の流れを受け、資金フローに反転の兆しが見え始めた動きと受け止められている。資産運用会社21Sharesのリサーチ責任者、ジェームズ・バターフィル氏は「センチメントは反発局面に戻る可能性があるように見える」と指摘。「5月初旬に流出が始まって以降で最大の流入だ」として、最悪期を通過しつつある可能性に言及した。
Bitcoin現物ETFはこれまで資金を積み上げてきた一方、直近8週間では約80億ドルが流出した。Bitcoin価格が21カ月ぶりの安値圏まで下落し、投資家が防御姿勢を強めたことが背景にある。年初来の累計純流出額は28億ドルに膨らんだ。
市場価格も足元で持ち直している。Bitcoinは8日時点で6万2000ドル前後で推移し、直近1週間では4%上昇した。月初には5万8000ドルまで下落し、昨年10月に付けた12万6000ドルからの調整局面が続いていた。
バターフィル氏は、今回の流出規模について、Bitcoin現物ETFの運用資産全体の8%に相当すると指摘した。この水準は、2018年の底入れ局面に近いという。さらに今年の調整は、昨年2月に投資家が52億ドルを回収した局面と似た様相を示していると分析した。
もっとも、ETF投資家の平均取得価格は依然として足元の市場価格を上回っている。Glassnodeの集計によると、Bitcoin現物ETF投資家の平均取得価格は約8万3800ドルで、現状では相当数の投資家が含み損を抱えていることを示している。
需給面では、大口保有者の売り圧力が足元で和らいでいる。バターフィル氏は、通常1000BTC超を保有する「クジラ」投資家が、昨年の高値以降に400億ドル超相当のBitcoinを売却したと指摘した。その上で、直近では価格の下押し要因が弱まってきたとの見方を示した。
一方、今回の反発がそのまま相場のトレンド転換につながるかどうかはなお不透明だ。米金融政策を巡る見通しが、Bitcoinの上値を抑える可能性があるためだ。バターフィル氏は「FRBが利下げ局面に入ったとみなせる状況ではない」と述べ、「そうした環境はBitcoinにとって非常に追い風だが、現時点ではそうなっていない」と語った。さらに「Bitcoinはインフレ見通しに非常に敏感で、イラン情勢やFRB見通しの影響も受ける」とした。
今回のBitcoin現物ETFの調整は、累計流出額だけを見れば記録的な規模だった。ただ、1日当たりの流出規模は昨年ほど強くなかった。CoinGlassによると、最近の調整局面で日次純流出の最大額は7億3300万ドルで、昨年はこれを上回る日が数日あった。市場では、足元の資金流入が一時的な反発にとどまるのか、それともETFの資金フローが本格的な方向転換に向かう起点となるのかを見極めようとしている。