米証券取引委員会(SEC)が、暗号資産の発行、仲介、取引インフラに関する3件の規則制定案件を、2026年の統合規制アジェンダに盛り込んだ。詳細な条文は未公表だが、暗号資産市場を巡る法的な枠組み整備が本格化する見通しだ。
ブロックチェーンメディアのThe Defiantが8日(現地時間)に報じたところによると、SECは統合規制アジェンダに「デジタル資産の公募・販売」「ブローカー・ディーラー規制」「暗号資産の市場構造」の3案件を追加した。いずれも規則案の公表時期として今年7月を目標に掲げている。
これらの案件は、米政府の規制情報サイト「Reginfo.gov」に掲載された機関別の規則一覧で確認できる。現時点で3案件はいずれも「規則提案」段階に位置付けられており、具体的な規定内容はまだ示されていない。SECが示した7月という時期も確定日程ではなく、あくまで目標時期となる。
1つ目の「暗号資産」規則は、デジタル資産の公募・販売手続きを対象とするものだ。一定の条件を満たすプロジェクト向けの適用除外や、セーフハーバーの導入可能性も検討対象に含まれる見通しだ。
市場の関心は、どのプロジェクトが規制上の例外に該当するのか、また初期トークン発行や資金調達の過程でどこまで法的保護が認められるのかに集まっている。
2つ目は、ブローカー・ディーラー関連規則の改正だ。SECは、純資本規則(15c3-1)、顧客資産保護規則(15c3-3)、記録保存規則(17a-3、17a-4)を見直し、暗号資産事業者にも適用可能な基準を整備する方針としている。
狙いは、暗号資産を扱う証券会社や仲介業者、カストディ機関が顧客資産をどう管理・保管すべきかを明確にすることにある。資本要件や会計基準の適用方法も論点になりそうだ。
3つ目は、暗号資産の市場構造を巡る見直しだ。SECは、代替取引システム(ATS)や米証券取引所における暗号資産取引に適用される証券取引法上のルールを再検討し、市場規制の枠組みをより明確にする考えだ。
SECは今回の規則制定について、暗号資産の発行、保管、取引全般にわたって、より明確な規制フレームワークを示し、市場参加者の法的不確実性を抑えることが目的だと説明している。
今回の動きは、SECがこれまで示してきた政策方針を実際の規則制定手続きに落とし込んだ点で意味を持つ。SECは6月に公表した戦略計画の草案で、デジタル資産の規則整備を主要課題に位置付けていた。
さらに5月には、トークン化証券取引に向けたイノベーション免除フレームワークも公表している。暗号資産規制が方向性の提示にとどまらず、具体的な規則提案の段階に進みつつあることを示す動きといえそうだ。
一方、議会での立法論議も並行して進んでいる。米議会では、暗号資産の市場構造を包括的に扱うCLARITY法案を巡る交渉が続いている。
同法案はまだ上院本会議での採決を終えておらず、議会は夏季休会前の8月7日を主要な処理時期とみているという。
SECの規則制定と議会の立法作業が並行して進めば、米国の暗号資産産業を支える制度の輪郭は一段と明確になりそうだ。今後の焦点は、SECが示した日程に沿って規則案を公表するかどうか、そしてCLARITY法案の審議がどのような結論に至るかにある。発行段階での適用除外の範囲、仲介業者の資本規制や顧客資産保護基準、取引プラットフォームの法的位置付けは、米国の暗号資産市場の運営に直接影響する可能性が高い。