OpenAIは10日、GPT-5.6シリーズの「Sol」「Terra」「Luna」を一般公開する。米政府との協議を踏まえ、少数の信頼できるパートナーに限っていた限定提供を約2週間で終了し、広範な提供に切り替える。
CNBCなどが8日までに報じたところによると、OpenAIは追加テストと政府当局との協議を終えた後、早ければ今週中にもGPT-5.6の提供を始める見通しだ。
今回の措置は、OpenAIが先月打ち出したモデル提供方針の見直しに当たる。当時は連邦政府の監督基準に対応するため、政府と共有された参加組織を含む少数の信頼できるパートナーにのみ先行アクセスを認めており、対象先の名称は明らかにしていなかった。
一方、OpenAIは当初から広範なアクセスを目指す方針を示しており、今後数週間以内にGPT-5.6の「Sol」「Terra」「Luna」をより広く提供すると予告していた。
サム・アルトマン最高経営責任者(CEO)は8日、X(旧Twitter)に「楽しく作ってみて」と投稿し、一般公開を示唆した。OpenAIも同日、GPT-5.6モデルのプレビューアクセスを世界的に拡大すると明らかにした。
OpenAIは、政府による事前アクセスの枠組みが長期的に恒常化すべきではないとの立場を強調している。こうした仕組みが、ユーザーや開発者、企業、サイバー防衛要員、グローバルパートナーによる高度なツールへのアクセスを妨げかねないと説明した。
今回の一般公開は、米政府がAIモデル配布への関与を強める流れとも重なる。ドナルド・トランプ大統領は6月、AIに関する大統領令に署名し、最先端モデルを開発する企業に対し、正式公開前に政府へ任意でモデルを提供し、能力評価を受けるよう求めた。
同命令は連邦機関に対し、60日以内に評価手続きを整備するよう求めている。こうした動きを受け、OpenAIは6月、今後のモデル公開に向けた評価体制と「反復可能な手順」の整備を政府と進めているとしていた。
競合するAnthropicの動きも注目される。Anthropicは先月、輸出管理ガイドラインの順守を理由に「Claude Fable 5」と「Mythos 5」へのアクセスを停止したが、米商務省が同月末に当該ガイドラインを撤回したことを受け、先週サービスを再開した。
これにより、世界的な提供を制約していた規制面の不透明感は、ひとまず後退した格好だ。
米国の主要AI企業が規制審査を踏まえてリリース日程を調整する一方、中国企業はアクセスのしやすさと価格競争力を武器に存在感を強めている。Zhipuは先月、無料でダウンロードでき、追加学習や企業の自社サーバー上での実行にも対応する「GLM 5.2」を投入した。
OpenAIはGPT-5.6の「Sol」について、「自社で最も強力なモデル」と位置付けており、コーディングや生物学、サイバーセキュリティ分野で高い性能を持つと説明している。
もっとも、OpenAI、ホワイトハウス、米商務省は現時点で本件に関する即時のコメントを出していない。実際の公開時期や一般利用者のアクセス範囲は、OpenAIの最終案内を確認する必要がある。
今回の一般公開は、新モデルの追加にとどまらない。最先端AIの提供スピードと政府による事前審査の間で、どのような基準が定着するのかを占う試金石となりそうだ。今後は、政府の評価手続きがどのように制度化されるのか、また開発企業が公開日程とどう両立させるのかが焦点となる。