ビットコインは8日、原油高や米連邦準備制度理事会(FRB)への警戒感を背景に売られ、6万2000ドル台に反落した。市場では先物主導で積み上がっていた買いポジションの縮小が進んでおり、短期的には6万1000ドル近辺の下値を維持できるかが焦点となっている。
Cointelegraphによると、ビットコインは24時間で約2%下落し、6万2000ドル台で推移した。世界の金融市場で強まったリスク回避姿勢が、暗号資産市場にも波及した格好だ。
今回の下落は、暗号資産固有の材料というより、マクロ環境の悪化と先物市場でのポジション圧縮が主因とみられている。半導体株や人工知能(AI)関連株が下落したうえ、米国とイランの軍事的緊張の高まりを受けて原油が約5%上昇し、投資家のリスク選好は急速にしぼんだ。
市場の関心は、FRBが公表する6月会合の議事要旨にも向かっている。次回会合は7月29日に予定されており、市場は政策金利の据え置き確率を約73%織り込んでいる。投資家は据え置きそのものよりも、議事要旨がインフレや今後の金利経路をどのようなトーンで示すかを注視している。
需給面もこの24時間で大きく変化した。ビットコインが7日に6万4000ドルを上回った局面では、累積出来高デルタ上、買いの流入が確認された。先物で約5億8500万ドル(約878億円)、現物で約1億1900万ドル(約179億円)が積み上がり、合計で約7億500万ドル(約1057億円)の純買いとなった。
ただ、8日は地合いが一転した。トレーダーは原油高や半導体株安に加え、FRB議事要旨の公表を前にした不透明感を意識し、ポジション縮小を進めた。先物では売りが約5億ドル(約750億円)まで膨らみ、現物でも8600万ドル(約129億円)規模の売りが出た。足元の戻りを支えていたのが、現物より先物主導の買いだったことが改めて浮き彫りになった。
デリバティブ市場の指標も弱含みを示した。ビットコインの資金調達率(ファンディングレート)と未決済建玉はともに低下した。一方で、週次ではファンディングレートがプラス圏を維持しており、市場全体の基調が完全に崩れたと判断するにはなお早いとの見方も残る。
清算規模そのものは大きくないものの、偏りは鮮明だった。8日の強制清算はロング側に集中し、ロング清算が約4700万ドル(約71億円)に達したのに対し、ショート清算は約400万ドル(約6億円)にとどまった。Hyblockのデータでは、6万1000ドル近辺に大規模なロングポジションが集まっている。ビットコインがこの水準まで下落すれば、強制売りが短期的な下押し圧力を強める可能性がある。
一方で、買い需要が完全に失われたわけではない。6万ドル近辺から下では押し目買いの動きもみられ、現物市場への資金流入やビットコイン現物ETFの買いは、この価格帯に一定の需要が残っていることを示している。
もっとも、直近の値動きを主導しているのが先物市場である構図に変化はない。こうした局面では、市場参加者の確信が弱まった際に価格変動が大きくなりやすい。
投資家心理もなお改善していない。暗号資産の恐怖・強欲指数は、センチメントが引き続き「恐怖」圏にあることを示した。さらに、Strategyによる直近3588BTCの売却も重荷とされている。現在のビットコイン価格は、同社の平均取得単価である7万4582ドルを下回っており、市場ではビットコイン最大保有企業であるStrategyが追加売却に踏み切る可能性を警戒する声が出ている。
短期的な変数は3つに絞られる。中東情勢を受けた地政学リスクが原油相場を一段と押し上げるか、FRB議事要旨が利下げ期待を後退させるか、そしてビットコインが6万1000ドル近辺のロング清算ゾーンを守れるかだ。現物需要や現物ETFの買いは下値の支えとして意識される一方、当面の方向感は先物市場でのリスク圧縮がどこまで続くかに左右される可能性が高い。