米暗号資産市場構造法案「Clarity法案」を巡る上院審議が正念場を迎えている。上院は13日に審議を再開する予定で、8月7日の夏季休会入りまで実質4週間。法案の行方はビットコイン相場にも影響を与えるとの見方が出ている。
8日付のCryptoSlateやBitcoin Magazineなど海外メディアによると、上院は休会前の限られた日程の中で法案を扱う必要がある。成立には本会議での審議・採決に加え、必要な手続きをこなさなければならない。
マイケル・セリック米商品先物取引委員会(CFTC)委員長は、議会が7月4日としていた目標期限を過ぎても法案成立は可能だとの認識を示し、「我々はほぼ到達している。やり遂げなければならない」と述べた。
Clarity法案は、デジタル資産市場に関する連邦レベルの規制枠組みを整備し、米証券取引委員会(SEC)とCFTCの監督権限を切り分けることを柱とする。下院は昨年夏に法案を可決したが、上院ではなお本会議採決に至っていない。
日程はすでに一度後ろ倒しになっている。ホワイトハウスの暗号資産顧問であるパトリック・ウィトは7月4日の署名を目標に掲げていたが、本会議採決や討論終結動議の提出には至らなかった。
法案は上院の法案日程表で423番に載っているものの、ジョン・スーン上院共和党院内総務は、現時点で本会議の審議時間を割り当てていない。
今後の手続きも平坦ではない。上院は法案審議の後、フィリバスターを回避するための60票を確保し、さらに下院案と上院案の差異を調整したうえで、最終案をドナルド・トランプ米大統領に送付する必要がある。
7月中に本会議での討論が始まれば、上院執行部が法案成立に前向きだというサインになる。一方、審議が9月に持ち越されれば、予算を巡る対立や選挙日程が重なり、法案推進の機運がしぼむ可能性がある。
セリック委員長は、休会前の処理に失敗すれば、次の機会が数年先にずれ込む恐れがあると警告した。
主な争点は2つある。1つは604条で、顧客資金を管理しない開発者やブロックチェーンのインフラ提供者について、送金業者規制の対象外とする内容だ。
業界側は、この条項が弱められれば、資産を保管しないソフトウェア開発者やネットワーク運営者まで金融仲介機関並みの義務を課されかねないと懸念している。最近では、米黒人法執行幹部協会が法案支持を表明し、米主要カウンティ保安官協会も中立姿勢に転じた。
もう1つの争点は、トランプ大統領一家の暗号資産事業を念頭に置いた倫理条項だ。トランプ氏の資産公開資料には、昨年10億ドルを超える暗号資産関連収入が含まれており、このうち数億ドルがTRUMPミームコインに関連しているとされる。
エリザベス・ウォーレン上院銀行委員会の民主党筆頭委員は、この問題を防げない法案には反対すると表明した。ルーベン・ガジェゴ上院議員も、強い倫理面での合意がなければ支持を維持できないと述べている。
これに対し、セリック委員長は、こうした要求が超党派での法案処理の機会を損ないかねないと批判した。
上院銀行委員会のデジタル資産小委員会を率いるシンシア・ルミス上院議員は、交渉チームが今月中に法案文案を公表し、採決に進む計画だと明らかにした。委員会では賛成15、反対9で法案が可決されており、民主党議員2人が共和党とともに賛成に回った経緯がある。
市場も立法スケジュールを意識している。ビットコインは7月に入って約10%上昇し、一時6万4000ドルを上回ったが、足元では6万2000ドル近辺まで押し戻されている。
Polymarketでは、法案が2026年内に署名される確率が、規制執行を巡る地合いの変化を受けて55%前後まで上昇した。ただ、その後は短い審議日程や倫理規定を巡る交渉が改めて意識され、45%水準まで低下した。
Grayscaleは、上院通過に加え、デジタル資産財務会社の安定と米連邦準備制度理事会(Fed)による追加利上げ回避が重なれば、ビットコインは底値圏に近い可能性があるとみる。一方で、法案が年内に頓挫し、デジタル資産財務会社のデレバレッジが続いたうえ、インフレ圧力が強まれば、ビットコインの重荷になり得るとしている。