米暗号資産市場構造法案「CLARITY法(CLARITY Act)」を巡り、8月の上院休会前成立への見方が揺れている。ホワイトハウスが目標に掲げた7月4日までの署名は実現せず、トランプ大統領一族の暗号資産収益を巡る倫理問題も重なって、与野党協議は停滞している。市場では、XRPが好調な指標を示しながらも価格は伸び悩み、ビットコインも反発基調を維持する一方で先行きの見方は定まっていない。
米上院では今週も、CLARITY法の成立時期を巡る見方が定まらなかった。いったん60%程度まで意識された成立観測は、上院日程の逼迫を背景に50%台へ低下。その後、ホワイトハウスのウィット顧問による楽観的な見解や、SEC委員の前向きな発言を受けて55%へ持ち直す場面もあり、観測は大きく揺れた。
上院は8月7日に夏季休会入りする見通しで、実質的な審議期限は7月中との見方が多い。共和党のジョン・スーン上院院内総務はCLARITY法を最優先課題に位置付けるが、復帰後は国防権限法(NDAA)の審議が先行する予定で、本会議の日程に余裕がないとの指摘も出ている。
審議停滞の背景には政治要因もある。トランプ大統領の年次資産開示では、ミームコイン関連のロイヤルティ収入やWorld Liberty Financial(WLFI)関連収入など、暗号資産由来の収益が約14億ドルに達したことが明らかになった。これを受け、エリザベス・ウォーレン上院議員ら民主党は、公職者の利益相反防止条項を法案審議の前提条件として改めて強調している。
ホワイトハウスは、公職者全体を対象とする包括的な規制には応じる姿勢を示す一方、特定人物を狙い撃ちする条項は受け入れない構えだ。8月6日前後とみられる最終採決までに合意形成にこぎ着けられるかが、今夏の暗号資産業界にとって最大の焦点となる。
一方、ステーブルコイン発行の枠組みを定める「GENIUS法(GENIUS Act)」は、7月18日に細則策定の締め切りを控える。市場では、CLARITY法に先立ち、ステーブルコイン発行体の選別が先行して進む可能性も意識されている。
XRPを巡っては、足元でオンチェーン指標の改善が相次いだ。XRP Ledger(XRPL)の決済量が1000%急増したとの見方に加え、世界220万件のホテル予約決済を支援したことや、AI関連取引が100万件に迫っていることなど、利用拡大を示す材料が続いた。
取引量も21%増加した。背景としては、イーサリアムのサイドチェーン大型アップグレードの予告、機関投資家需要の流入、デリバティブ市場の活発化の3点が挙げられている。
ただ、価格の反応は鈍い。材料や指標の改善が続く一方で、XRP相場はレンジ圏にとどまり、市場ではエコシステムの拡大と価格形成の乖離を疑問視する声も出ている。
投資家心理も強弱が交錯している。ビットコイン建てでXRPにゴールデンクロス形成の兆候が見られる一方、上値抵抗線とされる1.65ドルを明確に上抜けられるかが焦点となっており、相場の方向感はなお定まっていない。
XRPの評価を巡っては、暗号資産分野の弁護士の1人が、最大の強みとしてエスクロー構造を挙げ、市場の安定性に寄与していると指摘した。
決済インフラの広がりにも動きがあった。VisaとRippleが参加するステーブルコインプロジェクト「OpenUSD」について、Cardano Foundationが連携の可能性を示した。ステーブルコインを介した異なるチェーン間の協力が広がる可能性を示す動きとして注目されている。
ビットコインは、雇用指標の改善や原油価格の安定、CLARITY法を巡る期待感を支えに4日続伸し、6万2000ドル(約930万円)台を回復した。
もっとも、先行きに対する市場関係者の見方は割れている。Strategyのマイケル・セイラー会長は「ビットコインの4年半減期サイクルは終わった」と述べ、機関投資家の買いが主導する新たな局面に入ったとの見方を示した。これに対し、弱気派として知られるピーター・シフは「ビットコインの底値は結局0ドルだ」と主張し、対照的な見通しを示している。
テクニカル面でも判断は分かれる。ボリンジャーバンドの考案者は、「W型の底」を根拠に弱気相場終了の可能性に言及した。一方で、ビットコイン、イーサリアム、XRPの主要3銘柄に同時に警戒シグナルが点灯したとする分析もあり、短期的な変動拡大を警戒する声は根強い。
セキュリティ面では、量子コンピューターが直ちにビットコインの安全性を脅かす段階にはないものの、古い方式により公開鍵が露出した一部ウォレットは潜在的な標的になり得るとの分析も示された。長期的な備えの必要性が改めて論点になっている。
一方、韓国国内では規制強化の動きも続いている。金融監督院長はデジタル資産取引所の最高経営責任者(CEO)と面会し、全社的な内部統制の強化を求めた。
Coinoneは、グローバル取引所OKXを新たな株主に迎えた。次世代金融市場をにらんだ布石との受け止めが出ている。
また、SK hynixの米国預託証券(ADR)上場を前に、これをトークン化してオンチェーンで取引する案にも注目が集まった。優良株とブロックチェーン基盤を組み合わせる可能性が改めて意識されている。
CLARITY法が8月の休会前に成立するのか、それとも倫理問題の余波で越年するのかは、今月の暗号資産市場を左右する最大の変数だ。XRPは指標改善と価格の乖離を埋められるか、ビットコインは割れた見通しのどちらに近づくかが、それぞれ今後の焦点となる。