ビットコインが24日、一時5万8700ドルまで急落し、6万ドルの節目を割り込んだ。オプション市場では下落警戒が一段と強まり、年内の下値メドとして5万2000ドルを意識する動きが広がっている。
ブロックチェーンメディアのCryptopolitanによると、ビットコインは下げ足を速めて6万ドルを下抜けた。これを受け、トレーダーの間では追加下落に備えた防御的なポジション構築が急速に進んだ。
今回の下落で、ビットコインは史上最高値から約52%安の水準まで低下した。6万ドルは年初来、相場の節目として意識されてきた価格帯だったが、この日は維持できなかった。
同水準は2月以降、下値支持線として機能し、6月に入ってからも保たれていた。ただ、6万7000ドルをやや上回る水準まで戻した後、再び売り圧力が強まった。
弱気ムードは現物市場以上にオプション市場で鮮明だった。BlackRockのiShares Bitcoin Trust ETF「IBIT」のオプション取引高は同日、約110万枚に迫り、直近30日平均の日次出来高のおよそ2倍に膨らんだ。
取引の中心はプットオプションだった。thinkorswimのデータによると、トレーダーは約27万5000件のプットを買い越した一方、コールの買いは12万9000枚にとどまった。
オプションプレミアムも弱気に傾いた。IBITオプションのプレミアム総額1億8700万ドルのうち、1億4400万ドルをプットが占めた。
最も取引が集中したのは、行使価格32.50ドル、24日満期のプットだった。この契約が利益が出る水準に達するには、ビットコインが現在水準からさらに4.5%下落する必要がある。
一方で、市場が全面的な崩壊を織り込んでいるわけではないことを示す指標もある。IBITオプションのインプライド・ボラティリティは53で、1日当たり3%前後の値動きが見込まれていることを示唆した。
7月31日満期のオプションでは、IBITが来月末に30.50ドルを下回る確率は48%とされ、現在値から約10%の追加下落を織り込む。一方、10%上昇する確率は55%と、やや上回っていた。
レバレッジをかけたポジションの巻き戻しも急速に進んだ。データによると、午前の下落局面の60分間で、レバレッジをかけたロング約4億5000万ドル相当が清算された。
ビットコインがすでに5万9000ドルを下回る中、短時間で大規模なロングが解消されたことで、市場では2026年の下値リスクとして5万2000ドルを現実的な水準とみる向きが出ている。
今回の調整は、暗号資産が株式市場の戻りに追随できない中で起きた。過去数年、ビットコインは高リスクのテクノロジー株に近い値動きを示す場面が多かったが、足元ではその連動性が弱まっているという。
ビットコインは年初来で32%下落し、ソラナも47%下げた。株式市場が上昇する局面でも、両資産の反発は限られていた。
需給面では、個人マネーの流出を指摘する見方もある。小口投資家の資金が暗号資産の短期売買から人工知能(AI)関連株へ移り、大きな値動きを生む資金の中心が暗号資産から株式にシフトしているという分析だ。
ビットコインを保有するStrategy株でも、弱気ポジションの積み上がりが目立った。Strategyのオプション取引は、プットが50万5000件、コールが40万3000件。トレーダーはプット8万3000件を買い、コール7万2000件を売った。市場では、この組み合わせをリスク選好的ではない取引と受け止めた。
Strategyは現在、ビットコイン84万7363枚を平均取得価格7万5651ドルで保有している。ビットコイン価格が5万8800ドル近辺にある時点では、この保有分は取得原価ベースで約143億ドルの含み損となる。
同社株も、昨年10月の急落以降に80%超下落した。2021年11月以降の上昇率も22%未満にとどまり、一部局面で史上最高値を更新したビットコインとは対照的な動きとなっている。
市場では次の下値メドとして5万ドルを挙げる見方がある一方、3万ドル割れまで想定する声もある。当面の焦点は、6万ドルを回復できるか、IBITのプット需要が続くか、そしてロング清算が沈静化するかに移りつつある。