Rippleは、暗号資産決済市場がかつての電子商取引(EC)と似た成長過程をたどる可能性があるとの見方を示した。普及のカギとして、スケーラブルなレイヤ1ブロックチェーンや流動性の高いステーブルコイン、規制対応済みの法定通貨導線といった基盤整備を挙げている。
ブロックチェーンメディアのU.Todayが24日(現地時間)に報じたところによると、Rippleで中東・アフリカ地域を統括するリス・メリック氏はX(旧Twitter)への投稿で、暗号資産決済がグローバル金融システムに変化をもたらす転換点に近づいているとの認識を示した。
メリック氏は、現在の暗号資産決済市場を2000年代初頭のECになぞらえた。当時はオンラインショッピングに対して「不慣れで危険」という見方が強く、小売販売に占める比率も0.2%にとどまっていたという。消費者はWebブラウザ上でクレジットカード番号を入力することに抵抗感があり、EC自体も当初は目新しい技術として受け止められていたと説明した。
その後、ECは安全な決済ゲートウェイの整備と高速インターネットの普及を追い風に急成長した。さらにスマートフォンの普及で利用のハードルが下がり、オンライン消費は実店舗を補完する存在から主要チャネルへと拡大した。メリック氏は、現在では世界の小売支出の「5ドルのうち1ドル以上」がオンラインで行われているとし、2026年時点でEC比率が小売全体の20%に達した点にも言及した。
同氏は、暗号資産決済も同様の流れをたどる可能性があるとみている。現時点では大衆採用の段階には至っていないものの、それを支える中核インフラの整備が進む局面にあるというのが同氏の見立てだ。ECの拡大を後押しした基盤技術に相当する要素が、暗号資産業界でもようやくそろい始めているとした。
具体的には、高いスケーラビリティを備えたレイヤ1ブロックチェーン、十分な流動性を持つステーブルコイン、そして法定通貨と接続する規制対応済みの導線を挙げた。メリック氏は、こうした要素について「暗号資産時代の高速インターネットやスマートフォンに当たる基盤が整いつつある局面だ」との見方を示した。決済インフラが整えば、暗号資産は投資対象にとどまらず、実用的な決済手段として普及が進むと主張した。
今回の発言は、暗号資産決済の成長余地をトークン価格ではなくインフラ面から説明した点に特徴がある。メリック氏は技術そのものよりも、使いやすさを支える周辺環境の重要性を強調した。ECが安全性、接続環境、端末普及の組み合わせで一気に広がったように、暗号資産決済でもブロックチェーンのスケーラビリティ、ステーブルコインの流動性、規制対応済みの導入基盤がそろうことが必要だと指摘している。
もっとも、同氏は暗号資産決済がすでに主流市場に定着したとはみていない。大衆採用に至っていない現状も認めたうえで、足元は停滞局面ではなく次の成長段階に向けた準備期間だと位置付けた。Rippleの発信は、暗号資産決済を巡る競争の軸が、トークン価格から実利用を支えるインフラ構築へ移りつつあることを示すものといえそうだ。