無線充電は利便性が高い半面、電力損失や発熱が課題となる(写真=Shutterstock)

スマートフォンの無線充電は、有線充電に比べて最大40%多く電力を消費する可能性があることが分かった。利便性の高さが評価される一方、発熱に伴うエネルギー損失が大きく、バッテリー寿命や環境面では不利になり得る。

米ITメディアのEngadgetが24日(現地時間)、関連する調査やテスト結果を基に報じた。それによると、スマホ1台を0%から100%まで充電する際に必要な電力は、有線充電が約15Whであるのに対し、無線充電では約21Whに達し、最大で約40%多く電力を消費する場合がある。

背景にあるのは、無線充電の構造的な特性だ。無線充電は電磁誘導を利用して電力を送る仕組みで、ケーブルで直接つなぐ有線方式と異なり、コイル間で電力を伝送する過程で熱として損失が生じやすい。

Engadgetは、無線充電では全体の約20〜30%の電力が熱として失われる場合があると説明した。さらに、充電器が家庭用交流(AC)を直流(DC)に変換する際にも、約5〜10%の損失が発生するという。

調査や実験でも同様の傾向が確認されている。2020年の研究では、無線充電の消費電力が有線より最大40%多くなる可能性が示された。修理専門企業iFixitが2024年に実施したテストでも、AppleのMagSafeは有線充電に比べて消費電力が約36%高かった。スマホと充電パッドの位置が正確に合っていない場合は、充電効率が半分程度まで落ちる可能性もある。

発熱の影響は、単なる効率低下にとどまらない。充電パッドが熱を持つ現象そのものがエネルギー損失の表れであり、高温状態はリチウムイオン電池の劣化を早めるためだ。

多くのスマートフォンには過熱を防ぐ保護機能があり、バッテリー温度が45度前後に達すると充電速度を自動的に落とす設計になっている。専門家は、充電パッドを風通しの良い場所で使用し、枕や毛布の下で充電しないよう勧めている。

無線充電の利用が広がれば、電力消費全体の押し上げ要因にもなりかねない。有線充電でスマホを1年間使った場合の消費電力は約5.5kWhだが、無線充電では約7.6kWhに増える。無線電力コンソーシアム(WPC)とDeloitteが英国のモバイル利用者を対象に行った調査では、スマホ利用者の30〜66%が無線充電パッドや関連アクセサリーを使用していた。世界のスマホ約76億台のうち30%が無線充電を利用した場合、年間で約4830GWhの追加電力消費につながる計算だという。

安全性には製品ごとの差も大きい。特に廉価なノーブランド品では、温度検知や異物検知(FOD)機能が備わっていない可能性がある。スマホと充電器の間に硬貨や鍵などの金属物が挟まると過熱リスクが高まるほか、一部の高出力無線充電器は強い磁場を発生させ、ペースメーカーなどの医療機器に影響を及ぼす恐れも指摘されている。

環境負荷の面でも課題は残る。無線充電は消費電力量が大きいうえ、充電パッド自体が電子廃棄物になるためだ。高温での充電が長期間にわたって繰り返されれば、バッテリー性能の低下が早まり、スマホの買い替え時期を早める可能性もある。

もっとも、無線充電技術も進化を続けている。MagSafeやQi2などの新しい規格は、コイル位置のずれを抑えて充電効率の改善を図っている。ただ、電力を直接送る有線充電に比べると、磁場を利用する無線充電は構造上、一定のエネルギー損失を避けにくいという見方で専門家はおおむね一致している。

無線充電は利便性の高い技術だが、電力効率、発熱、安全性、環境負荷を含めて総合的に見極めながら利用する必要がある。

キーワード

#無線充電 #有線充電 #発熱 #充電効率 #リチウムイオン電池 #Qi2 #MagSafe #WPC #FOD
Copyright © DigitalToday. All rights reserved. Unauthorized reproduction and redistribution are prohibited.