Samsung ElectronicsとSK hynixが湖南・忠清圏で数百兆ウォン規模の半導体クラスター投資を検討する中、韓国の半導体支援策を巡る議論が再び強まっている。巨額の資金を要するファブ建設を税額控除で後押しするのか、それとも競合国のように現金による直接補助へ踏み込むのかが焦点だ。
業界によると、両社は今月末にイ・ジェミョン大統領主宰で開かれる「国土空間大転換」官民合同会議で、湖南・忠清地域での大規模投資計画を公表する方向で詳細を詰めている。メモリの前工程工場に加え、後工程のパッケージングラインも併設する案が取り沙汰されている。
ファブ第1期の建設費だけでも最低60兆ウォンに上るとされ、総投資額は300兆〜400兆ウォンに達する可能性があるとの見方も出ている。
投資規模が膨らむほど、支援手法を巡る負担も重くなる。米国や欧州、日本などの主要国は、国内サプライチェーンの確保に向けて直接補助金を武器に半導体工場の誘致を競っている。税額控除などの間接支援だけでは、初期投資負担を十分に軽減しにくいとの判断が背景にある。
米国は半導体支援法「Chips Act」に基づき、総額527億ドルの基金を設けた。このうち95%に当たる500億ドルを製造施設と研究開発(R&D)に振り向け、米国内にファブを建設する企業に投資額に応じて現金を支給する仕組みを整えている。
Samsung Electronicsは米テキサス州テイラー工場などで47億4500万ドル、SK hynixはインディアナ州の後工程ラインで4億5800万ドルの直接補助金を受けることになった。SKC子会社のAbsolicsも、ジョージア州のガラス基板施設で7500万ドルの支援を受ける。
欧州でも「European Chips Act」が発効し、2030年までに域内生産シェアを20%へ引き上げる目標の下、官民で430億ユーロ超を投じている。TSMCとNXPの合弁会社ESMCがドイツに建設するオープン型ファウンドリーには、ドイツ政府が50億ユーロの補助金を承認した。
日本も国内工場の誘致に大規模な予算を投じ、建設費の相当部分を現金で補填していることで知られる。
これに対し、韓国は直接補助ではなく、税額控除を柱とする「Kチップス法」を主な支援策として維持している。半導体設備やR&Dに投資した企業に対し、納付法人税の一定割合を差し引く仕組みだが、業界ではこの方式に限界が見え始めているとの指摘が出ている。
税額控除は、企業が利益を計上して初めて恩恵を受けられる仕組みだ。工場着工から量産まで数年を要し、その間に巨額の借入金や利払いを抱える初期投資局面では、支援効果が及びにくいという。
好不況の波が大きい半導体市況では、赤字となるダウンサイクルには納税額自体が発生せず、税額控除の実効性が薄れるとの懸念も業界内で強い。
原価競争力の面でも差が生じるとの指摘がある。着工段階で投資額の一部が現金で補填されれば、帳簿上の投資元本が圧縮され、毎年計上する減価償却費も抑えられるためだ。
一方、税額控除だけに依存する企業は、投資資金を自己資金や借入で賄う必要があり、製造原価の面で当初から不利になりやすいというのが業界の見方だ。
半導体特別法、8月施行へ 地方クラスター支援が後押し
今回の支援策を巡る議論は、政府が進める地域均衡発展戦略とも連動している。政府は「5極3特」(5つの超広域圏・3つの特別自治道)国家均衡発展戦略と、南部圏半導体ベルトの構築を推進している。
首都圏に集中してきた生産施設が湖南など南部圏へ広がれば、地域間の投資誘致競争は一段と激しくなる見通しだ。
こうした流れを後押しするのが、地域均衡発展を踏まえた半導体クラスター支援を盛り込んだ半導体特別法だ。8月の施行を控えており、クラスターに指定されれば、電力・用水・道路などインフラ整備に国費支援が入る。総事業費500億ウォン以上の財政事業に適用される予備妥当性調査でも、免除または優先選定の対象となる。
許認可手続きの短縮によって着工時期を前倒しできるため、企業が地方投資を決める誘因にもなり得る。支援の重心が首都圏以外へ広がる流れもうかがえる。
競合国が直接補助を前面に打ち出してファブ誘致を進める中、韓国でも支援手段の多様化が大きな論点になっている。業界の補助金要求と政府の財政負担がせめぎ合う中、月末の官民会議と8月の特別法施行が、今後の支援の方向性を左右する節目となりそうだ。
業界関係者は「数兆ウォン規模の現金を直接支給する方式は、税収環境や特恵論争の面で負担が大きい」としたうえで、「当面はインフラ支援の拡充や税額控除の補完・拡大が現実的だ」と述べた。