米上院の公聴会で、暗号資産業界が生活費負担の軽減策として暗号資産の有用性を訴えたものの、議員の反応は総じて鈍かった。議会の関心は、暗号資産の市場構造を巡る「CLARITY法案」の審議に移っている。
Cointelegraphが23日(現地時間)に報じた。上院銀行委員会の公聴会で、ルイジアナ州選出のジョン・ケネディ上院議員は、Digital Chamberの最高経営責任者(CEO)コディ・カーボン氏の証言について、暗号資産の宣伝に近いとの見方を示した。
公聴会のテーマは「The Affordability Agenda」だった。カーボン氏は、暗号資産・デジタル資産業界が、より速く低コストの取引を可能にし、既存の決済システムに競争圧力をかけることで、資産の保有や移転の障壁を下げ、米国の生活費問題の緩和に寄与し得ると主張した。
ただ、出席議員の多くはカーボン氏に直接質問せず、暗号資産に関する質疑もほとんど行われなかったという。
質問したのは、インディアナ州選出のティム・バンクス上院議員とケネディ議員が中心だった。バンクス議員は海外送金コストと米ドル連動型ステーブルコインのコストを比較して問い、ケネディ議員は「私は暗号資産が好きだが、それはわれわれの経済が抱える問題ではない」と述べた。
業界側が公聴会で強調したのは、暗号資産の市場構造を定めるCLARITY法案を上院で進める必要性だった。上院銀行委員会は5月に同法案の審議を前に進めており、上院本会議での採決は数週間以内に行われるとの見方が出ている。
もっとも、複数の議員は追加の倫理条項の導入を求めており、成立までの調整が難航する可能性がある。
論点は倫理問題にとどまらない。先週には賭博業界団体が上院に対し、法案文言の明確化を要請した。予測市場からスポーツベッティングに至る分野まで、米商品先物取引委員会(CFTC)の監督対象が広がる余地を残すべきではない、との趣旨だ。
CFTCは、マイケル・セリック委員長の下で、KalshiやPolymarketといったプラットフォームに対する排他的な管轄権を主張してきたとされる。
こうした中、上院内外の関心は法案処理の時期に移っている。一部議員は、上院が8月の休会に入る前にCLARITY法案を可決できるとみるが、24日(現地時間)時点で上院本会議の採決日程は決まっていない。
今回の公聴会は、暗号資産業界が実用性を前面に押し出して議会の理解を得ようとしたものの、米国経済全体の負担を扱う議題の中で優先順位を確保できていない現状を浮き彫りにした。同時に上院は、市場構造整備という大枠の法案審議を進めつつ、倫理基準や規制管轄といった個別論点の整理も迫られている。