ビットコイン相場が今週、重要な局面を迎えている。米国の5月個人消費支出(PCE)物価指数の公表に加え、100億ドルを超える大型の四半期オプション満期が控えており、市場では6万ドルの節目を維持できるかに関心が集まっている。
CryptoSlateによると、23日時点のビットコインは6万2500ドル前後で推移している。市場が注視するのは、26日に公表される米PCE物価指数と、27日に予定されるDeribitのビットコイン四半期オプション満期だ。
今回は、マクロ経済指標と大規模なデリバティブ満期が同じ週に重なる。なかでもDeribitの四半期オプション満期は、年内でも最大級の規模になるとみられている。
市場では、PCE物価指数が市場予想を上回った場合、米利下げ期待がさらに後退し、満期に伴うヘッジ取引も重なってビットコインの値動きが大きくなる可能性があるとの見方が出ている。
ビットコインは今月、一時6万ドルを下回った後、足元では6万2000~6万7000ドルのレンジで推移してきた。このため市場では、今回のイベントが通常の経済指標発表にとどまらず、相場を大きく動かすきっかけになり得ると警戒感が強まっている。
実際、3月末にはビットコインオプション141億ドル、イーサリアムオプション22億ドルの満期に加え、原油価格の急騰と米国債利回りの上昇が重なり、ビットコインが日中に6万6200ドル近辺まで急落した場面があった。
背景には、なお高止まりする米インフレがある。4月の米PCE物価指数は前年同月比3.8%上昇し、コアPCEは3.3%だった。
これを受け、連邦準備制度理事会(Fed)は6月会合で政策金利を据え置いた一方、緩和方向への姿勢を後退させた。年末時点のPCE見通しも従来の2.7%から3.6%へ引き上げており、インフレへの警戒をにじませた。
市場では、今回のPCE物価指数が上振れすれば、Fedの利下げ観測が一段と後退し、実質金利の高止まりやドル高が続くことで、ビットコインのような無利子資産の重しになるとみられている。
機関投資家の資金フローも強い追い風とは言いにくい。ビットコイン現物ETFは5月末から6月初旬にかけて13営業日連続で資金流出となり、流出額は合計44億ドルに達した。
その後も流出基調は続いた。Farside Investorsの集計では、6月18日までの累計純流出額は約22億7000万ドルとなった。特にBlackRockのIBITからの資金流出が大きかったとされる。
オプション市場の構造も警戒感を強めている。今回のDeribit四半期オプション満期は今年最大級とされ、直近の価格下落によって未決済建玉(OI)の約80%がアウト・オブ・ザ・マネー(OTM)になったと伝えられている。
Deribitのデータによると、オプション市場で「最大損失(Max Pain)」に当たる価格水準は7万4000ドル付近で、現物価格を約15%上回る。一方、下値では6万ドルのプットオプションが厚い水準として意識され、上値では8万ドルのコールオプションが強い抵抗帯になる可能性がある。プット・コールレシオは0.87という。
もう一つの注目点は、ディーラーのヘッジ取引だ。オプションのマーケットメーカーは反対ポジションのリスクを抑えるため、現物や先物でヘッジを行う。この過程で、相場が特定の価格帯にとどまりやすくなったり、逆に値動きが増幅されたりする可能性がある。
PCE物価指数が市場予想を上回れば、ビットコインが6万ドルのプットオプション集中帯を試し、追加の売り圧力が出るとの分析もある。
一方、物価指標が予想を下回れば買い安心感からの上昇も見込まれるが、7万4000ドル近辺のMax Painや8万ドルのコールオプションに絡む売り圧力が上値を抑える可能性も指摘されている。
もっとも、足元の無期限先物の資金調達率(ファンディングレート)は小幅なプラス圏にとどまっており、過度なレバレッジが積み上がっている状況ではないとの見方もある。市場では、マクロ指標が相場の方向感を左右し、オプション満期が値動きを増幅または抑制し、その後の週末の低流動性が変動をさらに大きくする可能性があるとみている。
今週のビットコイン相場は、6万ドルのサポートを維持できるかが短期的なトレンドを占う重要な分岐点となりそうだ。