イーサリアム下落の背景には、デリバティブ市場の悪化や現物ETFの資金流出、財団の再編が重なった。写真=Shutterstock

イーサリアム(ETH)が1日で約5%下落し、レバレッジをかけた強気ポジションの清算が膨らんでいる。米上場の現物ETFで資金流出が続くうえ、Ethereum Foundationの予算・人員削減も重なり、市場センチメントは悪化した。

ブロックチェーンメディアのCointelegraphが23日(現地時間)に報じたところによると、足元の急落でロングポジションの清算額は約1億7000万ドルに達した。これにより、過去12日間の上昇分の大半が打ち消されたという。

下落の背景には、Bitcoinが主要なサポート水準とされる6万2000ドル(約930万円)近辺で不安定な値動きとなる中、アルトコイン全般に売りが広がったことがあるとみられる。イーサリアムは直近30日で約20%下落し、同期間の暗号資産市場全体の時価総額減少率17%を上回る下げとなった。

市場では、米国とイランの和平交渉を巡る不透明感に加え、人工知能(AI)インフラ投資コストの拡大を受けたリスク資産選好の後退も重しになっているとの見方が出ている。

デリバティブ市場でも弱気シグナルが確認された。イーサリアムの無期限先物の年率換算ファンディングレートは一時、大幅なマイナスに沈んだ。足元では約3%まで持ち直したものの、最近の価格動向を踏まえると、地合いはなお弱いとの見方が多い。

オンチェーン指標も懸念材料だ。分散型アプリケーション(DApp)市場の低迷が続く中、複数のプロジェクトが運営を停止。総預かり資産(TVL)は直近3カ月で約23%減少した。

もっとも、イーサリアムはDeFi分野で380億ドル規模のTVLを維持しており、市場全体の約53%を占める。レイヤー2ネットワークを含むエコシステム全体では、分散型取引所(DEX)の取引量シェアも約43%を握る。

需給面では、米国上場のイーサリアム現物ETFが直近6週連続で純流出となったことも重荷となった。5月中旬以降の流出額は約9億1000万ドルに達し、ETFの総純資産は94億ドルまで縮小した。市場では、流出額の大きさそのものより、純流出が続いている事実がセンチメントを損ねていると受け止められている。

加えて、Ethereum Foundationの構造改革も悪材料視された。同財団は予算を約40%削減し、人員も全体の20%を減らしたと公表した。市場ではコスト効率化の一環と受け止める一方、短期的にはネガティブ材料になったとの見方が出ている。

また、上場企業Bitmineの保有イーサリアム資産に約93億ドルの含み損が生じている点も懸念材料として挙がっている。Bitmineは保有量を増やし続けているが、大幅な評価損が機関投資家の買い意欲を鈍らせる可能性があるとの分析もある。

一方で、市場では長期的な成長材料が完全に失われたわけではないとの見方も残る。今後予定される「Glamsterdam」のプロトコルアップグレードでは、ブロック生成機能の分離によって中央集権化への懸念を抑え、並列トランザクション処理を通じてネットワーク効率とセキュリティの改善が期待されている。

短期的には、大規模なロング清算、現物ETFからの資金流出、財団の再編が同時に重なり、イーサリアムの弱さが際立っている。ただ、DeFiや分散型取引のエコシステムで高いシェアを維持している点を踏まえれば、需要が戻れば持ち直す余地は残っている。

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