BlackRockは、金融アドバイザー向けに、ポートフォリオの1〜2%をビットコインに配分する案を示した。米国上場のビットコイン現物ETFでは資金流出が続いているものの、同社は分散投資先としての有効性は依然あるとみている。
ブロックチェーンメディアのCryptopolitanによると、BlackRockは23日(現地時間)、公式SNSでこうした内容に言及し、自社の「iShares Bitcoin Trust」(IBIT)の商品ページもあわせて紹介した。
一方で同社内では、足元の資金フローはビットコインにとって逆風との認識も示された。BlackRockでデジタル資産部門を率いるロビー・ミチニック氏は、ビットコインを巡る環境について、2025年10月以降は厳しい地合いが続いていると説明。金や貴金属を含む非AI資産全般への関心が薄れるなか、「AIのモメンタムが市場の注目を大きく吸い上げている」と述べた。
実際、資金フローもこうした見方を裏付けている。米国上場のビットコイン現物ETFは45営業日超連続で純流出となり、累計流出額は78億ドルを超えた。ビットコイン価格は6万2500ドル前後で推移し、昨年末に12万ドルを上回った高値圏から下落している。
IBITも例外ではない。2024年1月の上場直後には大規模な資金流入を集めたが、足元では流出基調にある。SosoValueの集計によると、純資産はなお約490億ドルあるものの、22日には1日で1億7196万ドルが流出した。
機関投資家マネーを巡る競争環境にも変化が出ている。近い将来にIPOが見込まれるSpaceXや、企業価値1兆ドルを目指していると伝えられるAnthropicの上場準備が、これまで暗号資産関連商品に向かっていた機関資金の受け皿として競合しているという。こうした動きは、BlackRockがビットコインの組み入れ方針を撤回したというより、資金配分を巡る環境が変わったことを示している。
もっとも、BlackRockは中長期では別の要因に注目している。ミチニック氏は、米政府債務と財政赤字が今後1年でビットコイン需要を再び押し上げる最大の要因になり得ると指摘した。中間選挙の前後には、財政政策を巡る議論が再燃する可能性もあるとみている。
金利も重要な変数として挙げた。同氏は、ビットコインは金と同様に金利上昇の影響を受けやすいと説明。金利動向と財政不安が再び重なれば、現在の資金流出基調が変わる可能性があるとの見方を示した。
BlackRockは16日、「iShares Bitcoin Premium Income ETF」(BITA)も上場した。BITAは、保有するビットコインの約4分の1〜3分の1に相当する規模で毎月オプションを売却し、キャッシュフローの創出を狙うカバードコール戦略を採用する。
BlackRockで米国株式ETF部門を統括するジェイ・ジェイコブス氏は、同商品について、年15〜25%のリターンを目標とする一方、その代わりにビットコインの上昇余地の約30%を手放す設計だと説明した。
BITAの手数料は0.65%。上場時の純資産は約1050万ドルだった。BlackRockは、ビットコインにはキャッシュフローがないことを理由に投資を避けてきた金融アドバイザーや保険会社、年金基金などを主な需要層として見込んでいる。
ジェイコブス氏はさらに、IBITの購入者の約75%が、ビットコインファンドを買う以前にETFを保有した経験がなかったと説明。その多くが、その後BlackRockのS&P500連動型ファンドや金、AI関連ファンドへと投資対象を広げたことも明らかにした。
足元ではAI関連資産に資金が集中し、ビットコインや現物ETFには逆風が続く。ただ、BlackRockは資産配分の観点からみて、1〜2%程度の小幅な組み入れであれば、分散投資先としてなお有効だとの立場を示している。今後は、米国の財政不安と金利動向が機関投資家の資金の向きを変えるかが焦点となる。