TSMCの先端半導体生産が逼迫するなか、Samsung Electronicsが代替の受託生産先として存在感を高めている。AIブームを背景に半導体需要が急増し、GoogleやNVIDIA、Tesla、AMD、BYDなどの主要企業がSamsung Electronicsのファウンドリ活用を検討しているという。Gigazineが19日付で報じた。
TSMCは先端半導体の受託生産で圧倒的な競争力を持つ。2nmや3nmといった先端プロセスで技術力と歩留まりの両面で優位に立ち、市場を主導してきた。
こうした強みを背景に、Appleをはじめ、NVIDIA、AMD、Broadcom、Marvell、MediaTekなどの主要ファブレス各社がTSMCに生産を委託している。
ただ、AI産業の拡大に伴って先端半導体の需要は急増しており、生産枠の確保競争は一段と激しくなっている。Appleですら、NVIDIAと生産枠を争う構図にあるとの見方も出ている。
TSMCは生産能力の増強を進めているものの、半導体工場の新設には巨額の投資と長い建設期間が必要で、短期的な供給拡大は難しいとみられている。
こうした状況は、先端プロセスの生産能力を持つSamsung Electronicsにとって新たな受注機会になっている。Samsung Electronicsは5nm以下の先端工程を手掛けられる数少ない企業の1社で、TSMCが抱えきれない需要の受け皿になり得るとの見方がある。
実際、複数のグローバル企業が次世代半導体の生産を巡ってSamsung Electronicsと協議していると伝えられている。
具体的には、GoogleがMediaTekと共同設計しているAIワークロード向けTPUの主要部品について、Samsung Electronicsへの生産委託を検討しているという。次世代AIアクセラレーター「Axion」の生産を巡っても、Samsung Electronicsと協議しているとされる。
このほか、AMDとBYDもSamsung Electronicsとの連携を模索している。AMDは次世代EPYCサーバー向けCPUの生産で協力が取り沙汰されており、中国のEVメーカーBYDは自動運転車向け半導体の生産を巡ってSamsung Electronicsと協議中と伝えられた。
NVIDIAについても、Samsung Electronicsのファウンドリ活用を拡大する可能性が取り沙汰されている。NVIDIAはAIアクセラレーターGroqの最新チップをSamsung Electronicsのファウンドリを通じて生産しており、次世代チップの委託生産も検討しているという。
Teslaは次世代A16チップを、米テキサス州にあるSamsung Electronicsの工場で生産する計画だ。イーロン・マスク氏が設立したNeuralinkも、次世代の脳インプラント向けチップの生産を巡ってSamsung Electronicsと交渉したと伝えられている。
一方、Samsung Electronicsのファウンドリ事業はこれまで数兆ウォン規模の赤字を計上してきた。ただ、AI半導体需要の拡大で新規顧客を獲得する機会は広がっており、事業環境にも変化が生じている。業界では、この流れが続けば収益性の改善と黒字転換の可能性が高まるとみている。