ChatGPTのiOSアプリで、質問の送信前に応答の推論レベルを選べる機能が利用できることが分かった。送信ボタンを長押しすると、「High」「Medium」「Instant」の3段階から選択できる。プロンプトごとに切り替えられる仕様で、有料ユーザー向けとされる。
米ITメディアのTechRadarが現地時間19日に伝えた。対象はChatGPTのiOSアプリで、送信ボタンの長押し操作によりメニューが表示されるという。
この機能では、同じChatGPTモデルを使ったまま、応答にかける推論の深さや処理時間を調整できるのが特徴だ。短い質問や簡単な確認には「Instant」で素早い応答を優先し、より複雑な分析や推論が必要な内容では「High」を選ぶことで、時間をかけた応答を得られる。「Medium」は速度と回答品質のバランスを取る選択肢と位置付けられている。
設定はアカウント単位で固定する仕組みではなく、プロンプトごとに選べる。TechRadarは、質問ごとに望む形へ調整できる自由度があると説明している。
一方で、利用できるユーザーは限られる。無料アカウントでは確認できず、有料プラン契約者向けの機能とみられる。機能自体の案内も目立たないため、その存在に気付いていないユーザーも少なくない可能性がある。
OSによって操作方法にも違いがある。iOSでは送信ボタンの長押しでメニューを呼び出せるが、Androidでは同じ操作には対応していない。代わりに、回答を長押ししてモデル変更メニューを開き、現在のモデルの「推論型」または「即時型」を選ぶことで、近い機能を使えるという。
こうした違いは、モバイルOSごとにユーザー体験の設計が異なることを示している。iOS版では機能自体は存在するが、実質的には隠しメニューのような位置付けで、見つけにくいとの指摘もある。TechRadarは「一度見つけると使い続けたくなる隠し設定」と評している。
今回の機能は、生成AIの競争軸が単なるモデル性能の向上だけでなく、ユーザーの選択肢拡大やインターフェースの差別化にも広がっていることを示す動きといえそうだ。
足元では、回答品質に加え、速度やコスト、推論の深さを利用者が選べる方向へAIサービスの進化が進んでいる。特にモバイルでは、同じ機能でも見せ方次第で利用実態が大きく変わるため、ユーザー体験の設計が競争力を左右する要素になりつつある。