写真=Algorand

Algorand Foundationは18日、ブロックチェーン全体を対象とした耐量子暗号への移行ロードマップを公開した。ユーザーアカウントやウォレット、機関向けカストディシステムに加え、ネットワークの合意基盤まで見直し、2026年に初回導入、2027年末までの全面導入を目指す。

ブロックチェーンメディアDecryptによると、今回の計画では、ユーザー向け機能の更新にとどまらず、ネットワーク中核の暗号基盤も移行対象に含めた。量子コンピューティングの進展を見据え、ブロックチェーン全体の耐性を段階的に高める狙いがある。

柱となるのは、アカウント体系とネットワークのセキュリティ基盤を並行して切り替える点だ。Algorand FoundationはFalconベースの耐量子アカウントを導入する方針で、既存の暗号方式と耐量子署名を併用するハイブリッドアカウントにも対応する。マルチシグウォレットと機関向けカストディシステムも移行対象に含める。

Algorand Foundationの最高技術責任者(CTO)、ブルーノ・マルティンス氏は、このロードマップについて、「セキュリティは将来の基準を前提に設計すべきだという判断を反映したものだ」と説明した。2026年に最初の節目を設け、2027年末までの本格展開を通じて、ユーザー、開発者、機関投資家が将来にわたって信頼できる基盤を整備する考えだ。

同氏はまた、Algorand Foundationがグローバルなブロックチェーンネットワークの運営主体として、このリスクを重大な課題と認識し、数年にわたり研究と準備を進めてきたと述べた。一方で、不確実性が残る中で拙速に移行を進めれば、別の妥協を招く可能性があるとも指摘した。

Algorandはユーザーアカウントだけでなく、ネットワーク自体を支える暗号構造の見直しも進める。検証者選定に使う乱数生成を耐量子方式へ置き換える案を推進し、既存の署名体系に代わる仕組みも検討している。移行は単なるウォレット機能の追加ではなく、合意インフラを含む構造改革になる見通しだ。

現時点では、量子コンピューティングがBitcoinなど主要ブロックチェーンの暗号を実際に破る段階には達していない。ただ、業界では先手を打つ動きが広がっている。Amazon、IBM、Googleも2030年を目標に耐量子移行を進めており、ブロックチェーン分野でも対応を急ぐ流れが強まっている。

市場も耐量子ブロックチェーン技術に敏感に反応している。Algorandのトークン「ALGO」は4月、GoogleのAI研究チームがAlgorandの耐量子プロトコルの本番環境への導入に言及した後、40%超上昇した。投資家が概念実証より、実ネットワークへの適用を重視していることを示した格好だ。

こうした中、業界ではいわゆる「Q-Day」を巡る議論も広がっている。量子コンピューティングが暗号資産を守る暗号体系を破り、公開鍵から秘密鍵を導き出して資金を奪取できる時点を指す。今週には、フランスのサイバーセキュリティ機関が、2027年以降は耐量子暗号をサポートしない製品を認証しない方針を示し、議論に拍車をかけた。

他のブロックチェーンでも対策は進む。Stellarの開発チームは今月初め、既存のウォレットアドレスを維持したままネットワークを量子安全暗号へ移行する3段階の計画を公開した。Bitcoinの開発者コミュニティでは、耐量子アドレスへ移行しないコインを最終的に凍結する案を含む移行フレームワークや、BIP-360ベースの実験が検討されている。Ethereumの研究チームも、正式なポスト量子計画の策定に着手した。

耐量子移行の必要性については業界内で共通認識が広がりつつある一方、実装方式やコスト負担はなお課題として残る。Cardanoの創業者チャールズ・ホスキンソン氏も必要性を認めながら、性能面やインフラ面でのトレードオフに言及している。

Algorand Foundationは、こうした制約を踏まえても準備の先送りは難しいとの立場を示している。マルティンス氏は、ブロックチェーン業界に身を置きながらポスト量子対応にまだ着手していないのであれば、直ちに始めるべきだと強調した。2026年の初回導入と2027年末の全面導入という計画が予定通り進むかが、今後の焦点となる。

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