ビットコインは6万7200ドルの回復に失敗した後、7%下落し、6万ドル水準を再び試す展開への警戒が強まっている。下落局面ではロングのレバレッジポジション3億3000万ドル相当が清算された。AI関連株への資金シフトに加え、ドル高と金利高も相場の重荷となった。
Cointelegraphが18日(現地時間)に報じたところによると、今回の下落で清算された上昇方向のレバレッジポジションは3億3000万ドルに上った。
今回の調整は、底堅いテクノロジー株とは対照的な値動きとなり、市場の警戒感を強めた。ナスダック100指数が過去最高値からおおむね1%安の水準で推移する一方、ビットコインは同じ局面で下げが加速した。
市場では、ビットコインの軟調さの背景に、AIセクターへの資金移動があるとの見方が出ている。
マクロ環境もビットコインには追い風とならなかった。ドナルド・トランプ米大統領とマスード・ペゼシュキアン・イラン大統領による覚書締結を受け、原油価格は1バレル74ドルまで下落し、15週ぶりの安値を付けた。
原油安はインフレ圧力の低下を示すシグナルと受け止められた。米国の継続失業保険申請件数も181万件と大きな変化はなく、リスク資産全体には一定の安心感を与えたが、ビットコインへの資金流入にはつながらなかった。
米連邦準備制度理事会(FRB)の政策スタンスを巡る見方も重しとなった。CNBCによると、ケビン・ウォッシュFRB議長は17日の会合で「物価安定」に複数回言及し、市場では新議長体制のFRBがインフレ動向をこれまで以上に厳しく見るとの受け止めが広がった。
米5年債利回りが4.21%近辺を維持したことも、利息を生まないビットコインには不利な環境となった。ドル高もビットコインや金の重荷となり、ドルは主要通貨バスケットに対して上昇、金価格は3.3%下落した。
市場では、債券など利回り資産の魅力が長引くとの見方が強まり、ビットコイン需要を押し下げたとの指摘が出ている。
デリバティブ市場では、強気センチメントの冷え込みも鮮明になった。ビットコイン無期限先物の年率換算ファンディングレートは、6月4日以降、ロング需要の鈍化を示す動きが続いている。
市場参加者の心理もなお不安定だ。ビットコインは7万3700ドルから一時6万1300ドルまで3日間で急落しており、その後も投資家心理は十分に回復していない。
一方、株式市場ではAI関連資産への選好が強まっている。SpaceXは上場後数日で時価総額が2兆4000億ドルに達し、Intel株はトランプ大統領がAppleとIntelのプロセッサ生産協力で合意したと明らかにした後、17日に10%上昇した。
MicronとSK hynixも最近、時価総額1兆ドル超の企業群に加わった。
市場心理は2022年のFTX破綻時より悪いとの見方もある。ビットコイン支持者で商事訴訟を手がける弁護士のジョー・カルラサレは、現在のトレーダー心理は当時より悪化していると述べた。
同氏は、2022年11月はインフレや利上げなどマクロ要因でほぼすべての資産クラスが同時に揺れた一方、足元ではビットコインを支えてきたナラティブそのものが崩れつつあると指摘した。
もっとも、ビットコインが伝統金融に浸透する動きは、過去の半減期局面より進んでいるとの見方もある。米上場のビットコイン現物ETFは1020億ドル超の資産を集め、Morgan Stanley、Bank of America、Goldman Sachsなど大手金融機関も顧客向けのビットコイン投資商品を投入している。
こうした状況を踏まえると、短期的にはAIセクターが市場の主役であり続ける限り、ビットコインが6万ドルを再び試す可能性は残る。その後の値動きは、機関投資家マネーがどの程度ビットコインに流入するかが焦点となりそうだ。