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欧州連合(EU)が、人工知能(AI)向けデータセンターの整備計画を縮小した。AI主権を掲げる大型投資構想を打ち出して間もない段階で中核インフラ計画を見直した格好で、欧州のAI戦略が実行段階で課題に直面していることが浮き彫りになった。

Cryptopolitanによると、欧州委員会は18日(現地時間)、AIデータセンターの調達計画を当初案より小規模な内容に改めた。

欧州委員会は6月3日、クラウドや半導体、AI開発を一体で進める「技術主権パッケージ」を公表し、今後10年間でデータセンター、半導体、クラウド、AI、オープンソースソフトウェアの各分野に約4220億ユーロを投じる方針を示していた。

ただ、今回見直したデータセンター計画では、整備規模が当初構想から縮小した。EUは当初、5カ所のデータセンターに先端チップ計10万個を配備する案を検討していたが、新たな計画では7カ所のデータセンター建設を公募する一方、フェーズ1では4カ所にそれぞれ最低2万5000個のGPUを、残る3カ所にはそれぞれ最低4万個のプロセッサを備える内容に改めた。

資金調達の枠組みも、公的主導から民間投資を軸にした形へとかじを切った。EUは民間資金の呼び込みによってデータセンター整備を加速させたい考えだが、米国や中国に後れを取るAI計算能力を短期間で引き上げられるかはなお不透明だ。

欧州が保有するAI計算能力は世界全体の約5%にとどまるのに対し、米国は約80%を占める。米ビッグテック各社は2025年だけでAIインフラ拡張に4000億ドル超を投じた。これは、EUが複数年で進める2000億ユーロ規模のAI投資計画を上回る水準とされる。

クラウド市場でも、欧州の構造的な弱さは解消していない。Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloudの3社で欧州クラウド市場の約70%を占める。5月末に公表されたAllianzの報告書では、米企業が欧州のクラウドコンピューティング市場の約80%、企業向けソフトウェア売上高の約60%を握っていると指摘した。

米国のCLOUD Actも、欧州でデータ主権を巡る懸念を広げている。データの保存場所を問わず、米当局が米企業に対してデータ提出を求められる仕組みのためだ。

こうした懸念は、米国によるAIモデルへのアクセス制限でさらに強まった。米政府は6月13日、Anthropicの最上位AIモデル「Mythos」「Fable」について海外からのアクセスを制限した。欧州の政策当局や産業界では、米国による技術遮断リスクが現実味を帯びたとの受け止めが広がった。

セバスティアン・ルコルニュ仏首相は「われわれは外国勢力が作った道具に依存できない」「フランスは自前の道具を持たねばならない」と述べた。仏通信大手Orangeも、Anthropicのモデル制限を受け、欧州では「恣意的に遮断されないAI」へのアクセスが戦略上の必須条件になったとの認識を示した。

この動きは、5~7年以内にEU域内のデータセンター容量を3倍に増やすことを目指す「クラウドおよびAI開発法」の議論も後押ししている。同法案には、医療や金融、司法など機微性の高い公共部門業務に対し、欧州主権に関する厳格な基準を適用する内容が盛り込まれている。

一方で、現行の調達基準は不十分だとの批判もある。EuroStack産業イニシアチブを率いる競争経済学者、クリスティナ・カッパラ氏は、欧州委の対応を「非常に弱い」と評価した。米国からの圧力の下で、より強力な調達メカニズムが後退したと主張している。

同氏によれば、提案中の規定のままでは、強い欧州主権基準が適用されるのはクラウド契約全体の約10%にとどまり、残る90%は米ハイパースケーラーを含むすべての事業者に開放されるという。

産業界では、AIの自立性と技術導入のスピードが相反しかねないとの見方も出ている。Siemensのローラント・ブッシュCEOは、欧州が既存のAIツール活用より自前インフラ整備を優先すれば、技術導入が遅れる恐れがあると警鐘を鳴らした。EUのAI規制アプローチについても「かみ合っていないやり方だ」と批判し、米国のAI普及を「速く流れる川」、欧州を「よどんだ水」に例えた。

コスト面も課題だ。Capgeminiのカリン・ブルネCOOは、欧州製クラウドの代替サービスが米国製品より最大40%高くなる可能性があると指摘した。企業が欧州製インフラを選ぶ際の重荷になりかねない。

こうした中、フランスのAI企業Mistralは欧州を代表する有力企業の一つとみられている。足元では、企業価値232億ドルを前提に35億ドル規模の資金調達を協議しているとされる。ただ、5000億ドル超とされるOpenAIの企業価値とはなお大きな開きがある。

欧州委は7月、AIギガファクトリー構築に向けた公募を始め、加盟国や欧州投資銀行と資金調達策を協議する計画だ。

AIデータセンター計画の縮小と海外AIへの依存リスクが同時に表面化する中、欧州のAI主権戦略は新たな局面に入った。今後の成否は、投資規模や調達基準、実行速度をどこまで具体化できるかにかかっている。

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