韓国政府は18日、人工知能(AI)転換と経済安全保障を巡る競争の激化を踏まえ、国家戦略技術の体系を10分野55技術に再編し、「NEXTプロジェクト」を始動すると発表した。2030年に世界最高水準の技術力を確保し、2040年には世界初の技術実現につなげる構想で、研究開発(R&D)と投資、政策支援を一体的に進める。
科学技術情報通信部と企画財政部は同日、ソウル市内のロッテホテルで「国家戦略技術先導NEXTプロジェクト推進大会」を開いた。会場には、国家戦略技術分野の主要企業、大学、研究機関、関係省庁の関係者ら約100人が参加した。
NEXTは「New, Emerging, and eXponential Technology」の略。政府は、急成長が見込まれる次世代・新興技術を軸に、分野ごとの中核R&D事業と産業・投資政策を連動させ、産業主導権の確保と新市場の開拓を狙う。
韓国政府は2021年から国家戦略技術の指定を進めており、2023年9月施行の国家戦略技術育成法を基盤に、R&D、投資、政策支援を拡充してきた。2026年の国家戦略技術R&D予算は8兆6000億ウォン(約946億円)としている。
ペ・ギョンフン副首相兼科学技術情報通信部長官は、「産業界は技術と市場の現場需要を提示し、大学は人材育成とグローバル共同研究を主導し、研究機関は挑戦的な研究開発の拠点機能を強化する必要がある」と述べた。その上で、「NEXTアライアンスを通じて、産学研の力とR&D、金融、投資、政策支援を結び付ける」と説明した。
◆国家戦略技術を10分野55技術に再編
政府は今回の推進大会で、「AI転換の先導」「通商・安全保障の主導権確保」「未来革新基盤の構築」を3大ミッションに据えた新たな国家戦略技術体系を公表した。
グローバルな技術環境の変化に加え、産学研や関係省庁の意見を反映し、素材・エネルギー分野や知能型電力網などの有望技術を新たに盛り込んだ。安全保障面で重要性が高まっている国防半導体も補強し、全体を10分野55技術に整理した。
科学技術情報通信部、企画財政部、産業通商資源部などの関係省庁は、戦略技術関連法令の整合性も見直した。国家戦略技術育成法、租税特例制限法、国家先端戦略産業法、産業技術保護法に含まれる513技術を対象に管理体系を点検し、共通する技術分野を整理した。
4法令すべてに含まれる技術は重点支援領域に指定し、技術成熟度や政策目的に応じて、R&D投資、税制優遇、産業育成支援を集中的に講じる方針だ。
政府は、新たな国家戦略技術体系で示した分野別ミッションのうち、2027年から進める新規課題を中心に、省庁横断型プロジェクトを推進する。2026年からは、AI、先端ロボット・モビリティ、次世代セキュリティ・ネットワーク、革新・未来素材、未来エネルギー・原子力、量子、半導体・ディスプレイ、先端バイオ、次世代電池、宇宙・航空・海洋の10分野で新規ミッションを本格化させる。
中核事業は2026年末までに、国家戦略技術育成法上の「国家戦略技術研究開発事業」に指定する。指定事業については、R&D予算の配分・調整で優先的に扱うほか、企業負担比率も緩和する。
◆産学研官が連携、「NEXTアライアンス」発足へ
政府は、プロジェクト推進に当たって省庁間の縦割りを抑え、民間参加を広げるため、2026年下半期に「NEXTアライアンス」を立ち上げる。
アライアンスは、国家戦略技術の分野別協議体とプロジェクト支援チームで構成する。分野別協議体には企業、大学、研究機関、戦略技術保有企業などが参加し、プロジェクトの進捗や制度改善策を議論する。あわせて、人材育成、事業化、産業エコシステムの形成も進める。
ユ・ホンリムソウル大学総長は、「2030年の世界最高水準、2040年の世界初技術の実現に向け、挑戦的な課題を発掘し、解決策を模索する先導研究を進める」と述べた。
支援チームには、金融会社や投資機関、ベンチャーキャピタル(VC)などの参加を広げる。「研究成果拡散専担機関」を指定し、技術の事業化と成果の普及を後押しするほか、海外機関との共同研究など国際協力も強化する。
関係省庁は、中核R&D事業に加え、知的財産権の分析やイノベーション調達など、各省庁が持つ政策手段をプロジェクトと連動させる。科学技術情報通信部、産業通商資源部、気候部、宇宙航空庁などはR&D事業を進め、知的財産庁は戦略技術分野の知財分析、調達庁はイノベーション調達を担う。
政府は2026年下半期中に中長期の投資戦略を策定し、プロジェクトのロードマップを確定する。国家戦略技術特別委員会を通じてプロジェクトごとの成果を管理し、今後は国家戦略技術サミットなどを通じて進捗を公表する計画だ。
ペ・ギョンフン副首相は「戦略技術の確保は国家の生存に不可欠だ」と強調し、「下半期にも推進大会を開き、NEXT国家戦略技術の開発を加速させる」と述べた。
パク・ホングン企画財政部長官は、「国家戦略技術の競争力は、企業投資と大学・研究機関の研究力が結び付いてこそ成果につながる」と指摘した。その上で、「国家戦略技術分野に安定的な投資基盤を整え、未来技術に挑戦できる環境をつくる」と語った。
さらに、「技術が国家競争力そのものとなる技術覇権時代のただ中にいる」とした上で、「きょうが未来の成長エンジンに向けた出発点になってほしい」と述べた。