ビットコインは固有材料よりも、原油相場や金融政策観測の変化に反応した。写真=Shutterstock

ビットコインは、米国とイランの協議再開を巡る報道を受けて反発した。市場では中東の供給不安後退による原油安を好感する動きが広がったが、強気地合いが続くかどうかは、今後60日間の協議で核問題や制裁緩和を巡る具体的な進展があるかにかかっている。

暗号資産メディアのCryptoSlateによると、17日現地時間の市場は、米国とイランが新たな協議の枠組みで合意したとの報道に即座に反応した。投資家がまず織り込んだのは最終合意そのものではなく、ホルムズ海峡封鎖や原油供給の混乱につながるリスクが後退した点だった。

イラン外相は、両国が了解覚書(MOU)に署名した後に協議を開始し、60日以内に核開発問題と対イラン制裁の緩和可否を巡って協議する方針を示した。今回の発表は最終合意ではなく、今後の交渉に向けた基本的な枠組みを整えた段階と位置付けられる。

反応が先行したのは原油市場だ。ブレント原油は約5%下落し、1バレル78.96ドルで取引を終えた。米WTI原油も76.05ドルまで下げ、いずれも約3カ月ぶりの安値となった。市場では、ホルムズ海峡の通航リスク低下に加え、イラン産原油の輸出再開期待も意識された。

米エネルギー情報局(EIA)によれば、ホルムズ海峡は世界の原油・石油製品消費量の約20%、海上原油取引量の25%超が通過する主要ルートだ。この地域の緊張緩和だけでも、足元の原油安を十分に説明できるとの見方が出ている。

もっとも、市場は今回の発表をもって緊張が完全に解消したとはみていない。核開発の制限水準や検証方法、制裁解除の順序といった核心論点は、今後60日間の協議で詰められる見通しだ。イラン経済の再建に向けて言及された3000億ドル(約45兆円)規模の支援計画についても、実行には最終合意の成立が前提となる。

米国内でも慎重な見方は根強い。ジョン・ラトクリフCIA長官は、イランが最終合意に必要な水準の核面での譲歩を行うかについて、なお懐疑的な見方を示している。市場でも、エネルギー供給ショックの可能性はやや後退したものの、協議成立までの不確実性は依然大きいと受け止められている。

ビットコインは原油と直接連動する資産ではない。ただ、原油価格はインフレや金利、流動性環境に影響を及ぼすため、間接的な波及を受けやすい。今回の反発も、「中東リスクの緩和→原油安→インフレ圧力の後退→金融政策への負担軽減」という流れで解釈されている。

一方、米連邦準備制度理事会(Fed)は16〜17日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、政策金利を3.50〜3.75%で据え置いた。

市場の関心はすでに、今後60日間にどこまで具体的な協議内容が示されるかに移っている。ウラン濃縮の上限、国際査察の条件、制裁猶予のスケジュール、ホルムズ海峡の輸送量変化、イラン産原油の輸出規模、米議会の反応などが、原油相場とリスク資産市場を左右する要因として挙がっている。

市場では二つのシナリオが意識されている。協議が成功すれば、イラン産原油の供給正常化と制裁緩和が現実味を帯び、国際原油が構造的に下押しされる可能性がある。インフレ期待の沈静化を通じて実質金利の負担が和らぎ、ビットコインなどリスク資産の追い風になるとの見方だ。

逆に、協議が決裂するか、核心論点で進展が乏しければ、足元の安心感を背景とした上昇は大きく巻き戻される可能性がある。とりわけ、ウラン濃縮や検証体制、制裁解除の順序を巡る対立が続けば、原油のリスクプレミアムが再び拡大するとの指摘もある。

CryptoSlateは、今回のビットコイン反発を左右するのは協議再開の発表自体ではなく、今後60日間で何が具体化され、どこまで文書化されるかだと分析した。市場は目先のエネルギーショック懸念こそ後退したとみる一方、低インフレと流動性拡大局面への移行については、なお確認できていない。

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