小売向けソリッドステートドライブ(SSD)市場が、2026年上期にかけて急速に縮小したとの見方が出ている。Silicon Motionの幹部は、消費者向け需要自体が消えたわけではなく、同社コントローラーを搭載したSSDの最終需要先が小売市場からOEM向けへ大きく移ったとの認識を示した。
オンラインメディア「GIGAZINE」が17日(現地時間)に報じたところによると、Silicon Motionの副社長ネルソン・ドゥアン氏は「小売向けSSD市場はほぼ消えた」と述べた。
もっとも、この発言は消費者向けSSD需要の消滅を意味するものではない。Silicon Motionがモジュールメーカーに供給するSSDコントローラーの搭載先が、小売向け製品からOEM向け製品へシフトしたことを指す。ドゥアン氏は、同社コントローラーを採用したSSDの大部分が、現在はPCメーカー向け完成品SSDとして出荷されていると説明した。
背景には、NANDフラッシュの供給配分の変化がある。NANDメーカー各社がクライアントPCや消費者市場向けの配分を絞り、より多くをデータセンター向けに振り向けたことで、PCメーカーはNANDやSSDをメーカーから直接十分に確保しにくくなったという。ドゥアン氏は、こうした状況を受けてPCメーカーが従来の調達方法を見直していると指摘した。
実際、Acer、ASUS、Dell、HPなどのPCメーカーでは、SSDモジュールメーカーから完成品SSDを調達する動きが強まっている。従来、これらのモジュールメーカーは高性能モデルや冷却機構付き製品など、アフターマーケット向けSSDの比重が大きかったが、足元ではPCメーカー向け供給の割合が高まっているという。
ドゥアン氏によれば、こうした需給構造の変化は2025年下期から2026年にかけて一段と鮮明になった。OEM需要が大きく伸びた結果、モジュールメーカーの生産分の大部分がPCメーカー向けに直接回るようになり、そのぶん小売市場に流通する消費者向けSSDは相対的に減少したとしている。
価格面でも同様の流れが続いている。足元のSSD市場では、AIブームの影響を受けて価格が大きく上昇しており、大容量NVMe SSDの価格が重量当たりの価格で金に匹敵するとの報道も出ている。消費者向け市場の縮小は、単なる販売チャネルの変化ではなく、メモリー供給の優先順位がAIデータセンター向けへ移った動きと連動している。
この構造変化の影響は、SSDエコシステムの参加企業によって異なる。消費者向け小売市場への依存度が高い企業には逆風となる一方、独立系SSDコントローラーベンダーには新たな機会が広がる可能性がある。Silicon Motionのように、モジュールメーカーやサーバー向けドライブ需要との結び付きが強い企業にとっては、総じて追い風の事業環境になっているという。
今回の変化の本質は、SSD需要そのものの消滅ではなく、需要先の移動にある。NAND供給が消費者向けからAIデータセンター向けへシフトするのに伴い、SSD市場の中心も小売からOEMへ移りつつある。今後、消費者向けSSD市場が回復するかどうかは、NAND供給がクライアントPC向けや小売チャネル向けにどの程度戻るかに左右されそうだ。