米不動産投資会社のCardone Capitalが、多世帯住宅とBitcoinを組み合わせたハイブリッド型の投資スキームを打ち出した。賃料収入を生む不動産とBitcoinを組み合わせることで、安定収益と値上がり益の両取りを狙う。
Bitcoin Magazineが16日(現地時間)に報じた。グラント・カートンCEOは、従来のREITより高いリターンを目指せるほか、これまでBitcoin投資の経験がなかった層の取り込みにもつながるとの考えを示した。
Cardone Capitalは「Consensus 2026」のインタビューで、伝統的なREITの制度面の制約を指摘した。米国のREIT制度は1960年に整備され、収益不動産の保有や運営、金融の枠組みとして拡大してきたが、上場REITがバランスシート上でBitcoinを保有するのは容易ではないという。
同社はCamdenやAvalonBayなど既存REITの例を挙げ、こうした企業がBitcoinを組み入れるのは難しいとの見方を示した。そのうえで、この制度上の制約は市場の限界であると同時に、新たな事業機会でもあると位置付けている。
同社の手法は、不動産をブロックチェーン上でトークン化するモデルとは異なる。割安に取得した機関投資家向けの多世帯住宅を軸に、キャッシュフローを生む不動産資産とBitcoinをLLCの枠組みで組み合わせて保有する構成を採る。
狙いは、不動産の安定性とBitcoinの上昇余地を同時に取り込むことにある。
具体例として挙げたのが、Boca Ratonの案件だ。Cardone Capitalは、Blackstone関連の貸し手から366戸のアパートを現金2億3500万ドルで取得。これに約1億ドル相当のBitcoinを組み合わせ、総額約3億3500万ドル規模の投資スキームを組成したとしている。
同社によると、この資産の再取得コストは約4億ドル水準に上る見通しで、Bitcoinの活用によって投資規模を積み上げる手法だと説明している。
収益源は、不動産のキャッシュフローとBitcoin保有の双方だ。Cardone Capitalは、Boca Ratonの資産から年4%程度の収益を見込むほか、減価償却のメリットや7~10年周期での借り換え機会も期待できるとしている。
あわせて、Bitcoinは流動性と追加的な上昇余地をもたらすとの見方も示した。不動産とBitcoinを組み合わせて長期保有すれば、成熟した資産クラスであっても22~32%程度のリターンが期待できるとしている。
この仕組みは、Bitcoinの新規投資家を呼び込む入口としても機能しているようだ。Cardone Capitalは、Boca Ratonファンドの投資家の約80%が、過去にBitcoin投資の経験を持たなかったと明らかにした。
同社は、これまでBitcoinへのエクスポージャーがなかった投資家を市場に取り込むことを目標に掲げる。
拡大計画にも言及した。Cardone Capitalによると、直近17カ月で約10億ドル規模の不動産と約2000BTCを積み上げており、現在は6件の取引が契約段階にあるという。
同社は、REIT市場の5~10%を確保できれば大きな価値を生み出せると主張する。居住ニーズを支える実物資産と、Bitcoinというデジタル資産を組み合わせるアプローチを強調した格好だ。
もっとも、この仕組みがREIT市場の代替として定着するかはなお不透明だ。商業用不動産は長期保有が前提になりやすく、個人資金の募集を広げる過程では執行面のリスクも伴う可能性がある。
今後の成否は、取引の実行力に加え、市場サイクルやBitcoin価格の動向、関連規制の変化に左右されそうだ。