写真=Samsung ElectronicsのHBM4

Samsung Electronicsが、次世代の高帯域幅メモリ(HBM)市場で巻き返しに動いている。HBM4ではベースダイにファウンドリ工程の適用が不可欠になるとみられており、同社はベースダイの内製化を軸に、設計からファウンドリ、パッケージングまでを一括で担うターンキー戦略を前面に打ち出す。

業界では、HBM3Eまで優位だった外部委託型の協業モデルが、HBM4への世代交代を機に変化する可能性があるとの見方が出ている。

Samsung Electronicsは3月、AMDと次世代AIアクセラレーター「Instinct MI455X」GPU向けHBM4の供給を柱とするMOUを締結した。両社はあわせて、第6世代EPYC(コードネーム「Venice」)CPU向けDDR5の共同開発と、ファウンドリ分野での協力も検討する方針だ。

調印式はSamsungの平沢キャンパスで開かれ、AMDのリサ・スー最高経営責任者(CEO)が韓国を訪問し、チョン・ヨンヒョンSamsung ElectronicsのDS部門長と会談した。Samsung Electronicsはこの場で、HBM4と先端ファウンドリ、パッケージングを組み合わせた独自の一括供給体制を訴求した。

NVIDIA向けでも、次世代AIアクセラレーター「Vera Rubin」へのHBM4供給の可能性が高まっている。チョン・ヨンヒョンDS部門長は8日、NVIDIAのジェンスン・フアンCEOと会い、HBM4EやHBM5に加え、ファウンドリまで含めた協業拡大案を協議した。

HBM3EではSK hynixの外部委託型協業モデルにシェアで後れを取ったSamsung Electronicsだが、HBM4で流れを変えたい考えだ。Samsung Electronicsは、世界で初めて第7世代HBM4EのサンプルをNVIDIAに出荷し、追い上げを急いでいる。

チョン・ヨンヒョンDS部門長は「自分たちの仕事をしっかり進め、後で結果で示す」と述べ、HBM競争への自信をのぞかせた。

その背景にあるのが、ベースダイ工程の転換だ。HBM4では、従来のDRAM工程ではなくファウンドリ工程の活用が避けられないとされる。競合各社がDRAM工程の継続活用、あるいはTSMCへの外部委託に依存するなか、Samsung Electronicsはファウンドリ事業部の4nm FinFET工程を適用し、ベースダイの内製化を終えた。

TechInsightsによると、HBM4におけるベースダイの原価比率は約15%と推定される。Samsung ElectronicsのHBM4は、1キューブ当たりの帯域幅が3.3TB/sに達し、前世代から大きく向上した。データ転送速度も1ピン当たり13.0Gb/s水準まで高めた。

この内製化戦略の価値は、世代が進むほど高まる可能性がある。未来アセット証券は、HBM4EやHBM5へと高度化するにつれ、ベースダイ調達の重要性が一段と増すとみている。設計、ファウンドリ、パッケージングを自社で一貫して担える体制が、Samsung Electronicsの差別化要因になるとの分析だ。

メモリとファウンドリを併せ持つ事業構造そのものが、HBM競争の新たな軸として注目されている。

一方で、HBM4への世代交代は容易ではない。量産面では歩留まりが大きな変数となっている。

業界によると、Samsung Electronicsのファウンドリ事業部は昨年末から、4nm工程をベースにイーロン・マスク氏率いるNeuralinkの第4世代脳移植用チップを開発している。半導体設計からファウンドリ、先端パッケージングまでをワンストップで担える点が、受注につながったとみられている。

AIブームを背景にビッグテック各社の発注がTSMCへ集中し、ファウンドリの供給制約が強まるなか、第2の供給網の確保が急務になっていることも、Samsung Electronicsにとって追い風だ。

ただ、HBM4ではベースダイとコアダイの両方で、ウエハーのワーピング(不規則な反り)に伴う歩留まり低下が課題として浮上している。より高い帯域幅と容量を実現するため積層数が増え、各DRAMダイをより薄くする必要があるうえ、I/O数の増加で接続ピッチも狭くなり、応力要因が集中しやすくなるためだ。

ハンファ投資証券は、メモリ3社のHBM4歩留まりが前世代のHBM3Eに比べて大幅に低い水準にあるとみており、特定企業だけの問題ではないと分析している。

採用容量の多様化も変数となる。当初、HBM4の12段採用を計画していたAMDのMI400は、8段と12段の両バージョンに変更され、HBM4Eの16段採用が見込まれていたNVIDIAの「Rubin Ultra」も12段中心で供給されると把握されている。供給余力によって採用段数が変わる可能性があり、メモリの供給不足がシステム仕様にまで影響しかねない。

ベースダイ内製化という構造的な優位を量産成果につなげるには、ワーピングをはじめとする歩留まり課題の克服が欠かせない。業界関係者は「Samsungのターンキー戦略の成否は、HBM4量産をどれだけ早く安定化できるかにかかっている」と話した。

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