生成AIサービスの高額な有料プランを契約する利用者が増えている。Anthropicの最上位プラン「Claude Max」(月額200ドル)をはじめ、複数のAIサービスに毎月数百ドルを投じるケースも目立ってきた。試用や興味本位ではなく、業務効率化や収益化を目的に、AIを業務インフラとして位置付ける動きだ。
米Business Insiderが15日(現地時間)に報じたところによると、Claude Maxに加え、ChatGPT ProやGoogle AI Ultraなど高額プランを併用する層が広がっている。
利用者に共通するのは、AIを単なる消費サービスではなく、仕事を支える基盤として見ている点だ。南カリフォルニア大学で哲学・政治学・経済学を学ぶドリュー・ドーソンは、5月の1カ月間にAIサブスクリプションへ計449ドルを支出した。Claude MaxとChatGPT Proを併用したが、AIを活用した副業収入で十分に元が取れたという。ドーソンは「月400ドルは確かに高いが、得られる収益と節約できる時間を考えれば十分に価値がある」と話した。
月1000ドル超をAIサブスクリプションに投じる利用者もいる。ソフトウェア企業Flowstateの最高技術責任者(CTO)スターリング・コブは、Claude Maxを3アカウント契約するほか、ChatGPT ProとGoogle AI Ultraも利用しており、毎月の支出は1000ドルを超える。各サービスの利用上限や得意分野を組み合わせ、業務効率の最大化を図っているという。
ドイツのプロダクトデザイナー、ドミニク・マルティンも、Claude、ChatGPT、Geminiの有料プランを同時に契約している。複数のプロジェクトを並行して進めているため、AIサブスクリプションの費用は業務コストとして十分に見合うと説明した。
利用者が重視するのは時間短縮だ。米ナッシュビルのAIエンジニア、デビン・ヒルは、料金がさらに上がっても使い続ける考えを示した。「利用上限に達した瞬間、自分で作業しなければならない時間が増える。生産性の損失の方がコストとして大きい」と語った。
カナダ・カルガリーの研究者、レベッカ・ブルツマは、ClaudeとChatGPTの月額200ドルプランを併用し、複数のAIエージェントを運用している。1つは記事やソーシャルメディアのデータ収集に使い、別のエージェントはメールやWebサイトの分析に充てているという。「忙しい人にとって、AIが生み出す時間はそのままお金だ。費用対効果の計算は極めて単純だ」と述べた。
一方で、価格負担や性能低下への不満も強まっている。米タンパの公認会計士アリサ・クラークは、Claude CoworkやClaude CodeなどClaude関連サービスを利用し、最近はCodexにも月100ドル超を投じてきたが、今後は利用を減らす方針だという。「Claudeは以前より遅くなり、必要以上に多くのトークンを使っているように見える」と指摘し、特定のAIサービスへの過度な依存にも懸念を示した。
こうした不満は、Anthropicが最近投入した「Opus 4.7」を巡っても出ている。Anthropicはコスト増加に関する一部の問題を認める一方、意図的にモデル性能を落としたとの主張は否定した。
それでも高額AIサブスクリプション市場は拡大が続いている。Shopifyのプロダクトマネジャー、マイケル・アベルトは複数のAIモデルを試しながらも、Claudeの利用を続けていると語った。利用上限に達することは多いものの、必要な作業を安定してこなせる点を評価しているという。
市場では、こうした動きが生成AI業界の新たな消費パターンを示しているとの見方が出ている。従来は1つのサービスを契約する使い方が一般的だったが、現在は複数のAIモデルを同時に活用し、性能や速度、利用上限を分散させる戦略が広がっている。個人向けAIサブスクリプション市場は、単純な月額料金競争を超え、性能、速度、利用上限、計算資源の安定性が価格受容性を左右する局面に入りつつある。