Appleが今後、Siriに搭載する生成AI機能の一部を有料化する可能性があることが分かった。既存の基本機能は無料で維持しつつ、対話応答や画像生成など高度な機能をサブスクリプションの対象とする案が取り沙汰されている。
米ITメディアのTechRadarは15日(現地時間)、Apple関連の情報に詳しいマーク・ガーマン氏の見方として、Siriの既存機能は無料のまま維持される一方、一部の生成AI機能は有料化に向かう可能性があると報じた。
注目されているのは、AppleがWWDC 2026でSiriの新戦略を示したものの、別途のサブスクリプション計画には触れていない点だ。GoogleのGemini、OpenAIのChatGPT、AnthropicのClaudeといった競合各社は、高度なモデルや機能を有料プランに組み込んでいるが、Appleは同様の枠組みをまだ正式には打ち出していない。
もっとも、有料化観測には一定の根拠がある。ガーマン氏は、従来のSiri機能に加え、端末内で個人コンテキストを活用する機能については無料で維持される可能性が高いとみている。これらはメッセージや予定の検索などに使われる機能だ。
一方、対話型の応答や画像生成については、将来的に別料金のサブスクリプションが導入される可能性があるという。
背景にはコスト負担の問題もある。AppleはGeminiの技術にアクセスするため、Googleに年間約10億ドルを支払っているとされる。AppleのAIシステム上で数億人規模のユーザーが複雑な処理を実行すれば、追加コストが大きく膨らむ可能性がある。
このため、Appleがコストを自社で吸収し続けるのではなく、サブスクリプションを通じて回収に動くとの見方が出ている。
有料化をうかがわせる兆候もある。現在、iCloud+の加入者には、Siriの高機能に関する1日当たりの利用上限がより多く設定されているという。
Siriの高度な機能を単独の有料サービスとして提供するのか、iCloud+やApple Oneの上位プランに組み込むのかは現時点で不明だ。ただ、何らかの形で有料プランが導入される可能性は高いとの見方が出ている。
導入時期はなお見通せない。SiriのAI機能はまだベータ段階にあり、現時点では競合サービスと肩を並べる完成度との評価には至っておらず、これが時期を左右する要因になりそうだ。
Appleには、いったんSiriから離れたユーザーを呼び戻す課題もある。ガーマン氏は「Appleはまだ、自社のAIが実用に足ることを消費者に示さなければならない段階にある」とした上で、「それに対して料金を支払う価値があるかどうかは、その先の話だ」と述べた。
このため、Appleが直ちに課金へ踏み切るよりも、まずは機能の完成度向上とユーザー基盤の拡大を優先する可能性が高い。SiriのAI機能が十分な競争力を確保できれば、現在は無料で提供している範囲を超える一部機能が、有料のサブスクリプションに組み込まれる可能性がある。