Applied Materialsは6月16日、高積層の3D半導体で課題となる成膜・加工の均一性確保に向け、新たに原子層堆積(ALD)装置「Centris Spectral SiN」と、モリブデン向けエッチング装置「Producer Selectra」を発表した。
AI向け計算需要の拡大を背景に、半導体はゲート・オール・アラウンド(GAA)トランジスタや高積層3D NANDなど、垂直方向に構造を広げる設計への移行が進んでいる。こうした構造は深く狭くなるため、従来の成膜・エッチング工程では上部から下部まで均一な処理を行いにくく、電気特性の低下や歩留まり悪化を招きやすいという。
「Centris Spectral SiN」は、こうした課題に対応するALD装置だ。マイクロ波プラズマ技術を採用し、高アスペクト比構造でプラズマ密度を高めるとイオン損傷が増えやすいという従来の課題を抑えた。狭く深い構造内でも、低温で緻密なシリコン窒化膜(SiN)を均一に形成できるとしている。
同装置はGAAトランジスタにおいて、トランジスタ接触向けの高品質ライナー形成に用いることを想定する。抵抗や寄生容量の低減を通じ、動作速度の向上につなげる。開発には同社の「Spectral ALD」プラットフォームを活用しており、すでに先端半導体メーカーが導入しているという。
一方の「Producer Selectra」は、3D NANDのワードライン分離工程を湿式からドライプロセスへ切り替えることを狙った装置だ。3D NANDの積層数が増える中、ワードライン配線には低抵抗金属のモリブデン採用が進んでいる。ただ、湿式エッチングでは薬液が深い構造全体に均一に届きにくく、上部でエッチングが進みやすい「トップヘビー」のプロファイルが生じていた。
新装置は高度なガス供給技術により、構造の上部と下部で均一な加工を実現し、セル間のばらつきを抑える。これにより、リーク電流やデータ保持性に関する課題の改善を見込む。量産環境での評価はすでに完了したとしている。
半導体製品グループ社長のプラブ・ラジャ氏は「トランジスタ構造からメモリスタックに至るまで、チップメーカーは極めて複雑な3Dアーキテクチャの中で、材料を精密に成膜し、選択的に除去する新たな手法を求めている」とコメントした。
そのうえで、「Applied Materialsは最新の成膜技術と選択エッチング技術を通じて、顧客がスケーリング上の主要課題を克服し、ロジックとメモリの次世代イノベーションを加速できるよう支援する」と述べた。