韓国ゲーム各社が、コンソール事業の位置付けを見直している。従来のように対応プラットフォームを増やすだけでなく、既存のヒット作は機種展開の拡大でIPの寿命を延ばし、新作は開発初期からPC・コンソールのマルチプラットフォーム展開を前提に設計する流れが強まっている。
背景にあるのは、モバイル市場の構造変化だ。新規ユーザーの流入鈍化やジャンルの偏り、国内売上への依存が、成長余地を狭めている。
一方、コンソール向けタイトルは初期販売に加え、ダウンロードコンテンツ(DLC)やパッケージ版、グッズ、続編などへと収益機会を広げやすい。北米、欧州、日本のユーザーに向けて、IPを長期にわたり幅広く展開できる点も大きい。
◆既存作は対応機種を広げ、IPの寿命を延ばす
その代表例がShift Upの「Stellar Blade」だ。2024年4月にPS5向けアクションアドベンチャーとして発売した後、PC向けに展開し、今回は「Nintendo Direct 2026」でNintendo Switch 2版を年内に投入すると明らかにした。
業績面でも、その狙いがうかがえる。Shift Upは2026年1〜3月期決算で、「Stellar Blade」の売上高が129億ウォンとなり、前四半期比24.9%減だったと公表した。
同社はこれに先立ち、「長期的な販売管理に向け、プロモーション強化と追加プラットフォーム展開を積極的に検討する」としていた。Nintendo Switch 2への対応はその一環で、既存のPS5・PCユーザー層と重なりにくい新規顧客を取り込み、販売の勢いを立て直す狙いがある。
パッケージゲームは発売直後に売上が集中しやすく、時間の経過とともに販売が鈍化しやすい。対応機種を段階的に拡大すれば、同じIPを複数回市場に訴求でき、続編投入までの認知維持にもつながる。
NEOWIZの「Lies of P」も同様だ。2023年9月の発売後、2025年6月配信のDLC「Overture」までヒットが続き、累計販売本数は400万本を突破した。
同作は本編とDLCを収録した「Complete Edition」として、8月6日にNintendo Switch 2向けに発売する。価格は6万9800ウォンで、ニンテンドーeショップで予約を受け付けている。
DLC「Overture」はMetacriticで85点、OpenCriticで86点を獲得し、本編を上回る完成度との評価を受けた。米国のNew York Game Awardsでは「Best Expansion」部門を受賞している。
NEOWIZは、グローバルマーチャンダイジング企業のIAM8BITと協業し、パッケージ版やハンドメイドのマリオネット人形など関連グッズも展開する。10月2日にグローバルで正式発売する予定で、本編とDLCのセット版にパッケージやグッズを組み合わせる手法からは、IPをブランドとして育成する意図が見て取れる。
◆新作は開発初期からコンソール展開を前提に
既存ヒット作の追加展開とは別に、新作では開発段階からマルチプラットフォーム展開を前提とするケースが増えている。
LINE Gamesの「Ember and Blade」は、SteamとEpic Games Storeに加え、PS5でも発売する。2026年下期に早期アクセス版をグローバル公開し、2027年上期に正式リリースする計画だ。
Netmarbleの「EvilBane」も、PC・コンソール向けの三人称協力アクションとして開発中だ。Unreal Engine 5ベースのグラフィックスとリアルタイムの武器切り替え戦闘を特徴とし、4月からは毎月開発者ノートを公開してコミュニティのフィードバックを取り込んでいる。現在はアルファテストの準備を進めている。
両作品に共通するのは、発売前デモや早期アクセス、コミュニティとの対話をヒット戦略の軸に据えている点だ。リリース後に大規模なマーケティングを投下するモバイルゲームとは異なり、コンソール市場ならではの進め方といえる。
もっとも、コンソール参入がそのまま成果を保証するわけではない。プラットフォームごとの最適化やローカライズ対応に加え、膨らむ開発費も重荷になる。
それでも、「Stellar Blade」と「Lies of P」がグローバル市場で積み上げた実績は、これまでコンソールに距離を置いてきた大手各社の投資判断を後押ししている。
業界関係者は「以前は国内でヒットした後に海外へ展開する構図だったが、今は開発初期からグローバルユーザーを前提に設計するケースが多い」と話す。その上で「コンソール・PC基盤の大型プロジェクトが増える中、プラットフォームの選択そのものがIPの寿命と収益構造を左右する重要な要素になった」と指摘した。