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SKTは6月9日、欧州連合(EU)の研究基金「Horizon Europe」の採択を受け、次世代量子暗号技術の開発に着手すると発表した。光子集積回路とAIを組み合わせた「QPIC-AI」ベースの量子鍵配送(QKD)システムを開発し、小型化と安定性の向上を目指す。

今回の取り組みは、欧州3カ国の研究機関などと進める3年間の国際共同研究だ。Horizon EuropeはEUの主要研究助成制度で、総額は約955億ユーロに上る。韓国は2025年7月、アジアで初めて準加盟国として参加し、欧州から直接研究資金の支援を受けられるようになった。

SKTによると、同社は量子暗号分野での技術力を背景に、アジアの民間企業として初めてHorizon Europeの研究助成を受ける。プロジェクトでは、次世代の「QPIC-AI(Quantum Photonic Integrated Circuit-AI)」を基盤とするQKDシステムを構築し、実証まで進める計画だ。

QKDは、量子力学の特性を利用して通信当事者間で暗号鍵を共有する技術。第三者が通信を盗聴しようとすると量子の状態が変化するため、不正な傍受を検知できる。

一方、現在のQKDシステムは普及面で課題を抱える。単一光子光源や干渉計といった精密な光学部品を個別に組み上げ、調整する必要があるため、装置が大型化しやすく、構築コストもかさむためだ。

SKTは、こうした課題の解消に向けてQPIC-AIを開発する。従来は個別機器として構成していた光学部品を、光子集積回路(PIC)ベースの半導体プロセスで小型チップ上に集積し、システム全体の小型化を図る。

あわせてAIを実装し、温度や振動など外部環境の変化によって生じる光学系の状態変化をリアルタイムで検知・補正する。これにより、QKDシステムの動作安定性を高める考えだ。

SKTは、QPICプロセスによって小型化に加え、量産によるコスト低減や消費電力の削減も期待できるとみている。これまで主に国防や金融分野で活用されてきたQKDの用途が、今後はより幅広い分野へ広がる可能性があるという。

プロジェクトには、ギリシャ国立科学研究センター(NCSRD)、オーストリア技術研究所(AIT)、ドイツの半導体スタートアップSinogate UGなどが参加する。SKTはPICベースのQKDシステム開発、AI機能の適用、QKDテストベッドの構築と検証を担う。韓国電子通信研究院(ETRI)は、PICベースのQKD送信部・受信部向け光学チップの開発を担当する。

SKTは、今回の欧州との共同研究が国際標準化にもつながるとみている。韓国と欧州では量子暗号技術の認証基準が異なるため、研究を通じて各国の基準の違いを分析した報告書をまとめる予定だ。将来的には、国際標準化機関における認証基準の統合に向けた基盤整備に寄与するとしている。

SKTは2011年から15年余りにわたり、量子暗号技術の開発と商用化を進めてきた。科学技術情報通信部や防衛事業庁の関連事業への参画などを通じ、有線QKDを無線・衛星QKDへ拡張する取り組みを進めるほか、10Gbps級の量子乱数生成器(QRNG)など次世代技術の開発も手がけている。

また、米国標準に準拠した耐量子暗号(PQC)をゼロトラストソリューションや量子暗号ワンチップ(Q-HSM)に追加した製品を展開し、国防・公共市場の拡大も進めている。

SKTでネットワーク技術を担当するリュ・タクギ氏は、「今回のHorizon Europe採択は、SKTの量子暗号技術における研究開発力を示す契機になった」としたうえで、「PIC技術とAI技術を融合した次世代QKDシステムの開発を通じ、グローバルな量子暗号通信市場での先導的な地位を強化していく」と述べた。

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