画像=ChatGPT

OpenAIは8日(現地時間)、米証券取引委員会(SEC)に上場届出書「S-1」を非公開で提出し、新規株式公開(IPO)に向けた手続きに入った。The Vergeなど海外メディアが報じた。Anthropicも1日に同様の手続きを始めており、AI大手の上場準備が相次いでいる。

非公開提出は、IPOに向けた初期段階の手続きにあたる。このため、通常S-1で示される財務内容や事業リスク、経営陣報酬などの詳細は、現時点では公表されていない。OpenAIが上場準備を進める一方で、投資家が確認できる情報は当面限られる見通しだ。

今回の動きは、ここ1年ほど続くOpenAIとAnthropicの競争の一環とみられる。企業価値の面では、足元ではAnthropicが先行している。

Anthropicは直近の資金調達後の企業価値が9650億ドルとされ、OpenAIの8520億ドルを上回った。AIモデル開発競争が資金調達競争にも広がる中、両社のIPO準備の進み具合は市場の注目材料になっている。

OpenVCの創業者兼CEO、デイビッド・シャピロ氏は、OpenAIの企業価値について、二次市場の投資家の見方に相応に織り込まれているとの見方を示した。企業価値が毀損したわけではなく、市場指標ベースでもなお非常に高い水準にあると評価した。

さらに、ここ数日でOpenAI株が小幅に上昇した背景については、投資家がOpenAIとAnthropicを大規模言語モデル(LLM)市場の「2強」とみている可能性があると分析した。

もっとも、上場を急ぐ背景は成長戦略だけではない。OpenAIは最近、新規ユーザー数と売上高の目標が社内予想に届かなかったと伝えられている。

最高財務責任者(CFO)のサラ・フライアー氏は、データセンター投資に必要な巨額資金を賄えるかどうかに懸念を示したという。報道では、社内で上場のスピードを巡る見方の違いもあったとされ、フライアー氏はサム・アルトマンCEOほど積極的ではなかったとされる。

売上目標やユーザー成長が想定を下回ったことに加え、巨額の計算インフラ投資を継続的に支えられるかどうかも、上場を巡る重要な論点になっている。

とりわけ計算インフラへの投資計画は、IPOプロセスで厳しく見られる可能性が高い。OpenAIは当初、同分野に1兆4000億ドルを投じる計画を示していた。

アルトマン氏はこの数字について公の場で問われた際、慎重な姿勢を示したことがある。その後、OpenAIは2月、投資家に対して2030年までに計算部門へ6000億ドルを投じる計画に修正したと説明した。

投資規模を大きく見直したことで、今後公開される書類では、収益性や資金調達の枠組み、支出の持続可能性が主要な論点になりそうだ。

こうした事情から、上場時期を巡る競争は資金調達面でも重要性を増している。専門家の間では、先に上場した企業が、限られつつあるAI向け投資マネーをより多く取り込む可能性が高いとの見方が出ている。

加えて、SpaceXも上場準備を進めているとされ、大型テクノロジー企業への資金集中が一段と進む可能性がある。Anthropicが先に開示する上場書類は、OpenAIの公募価格を見極めるうえで比較材料になる可能性もある。

PitchBookは最近、OpenAIについて、事業の基礎体力に比べて割高との分析も示した。

上場のタイミングも注目点だ。今回の発表は、イーロン・マスク氏とアルトマン氏の裁判で陪審評決が出てから数週間後に行われた。

また、マスク氏が率いるSpaceXが12日にIPOを行うとの報道を控えた時期とも重なる。SpaceXは今回の上場で800億ドルを調達し、過去最大規模のIPO記録を狙うとしている。

OpenAIの上場初値は、SpaceXと比較される可能性が高い。SpaceXはOpenAIの競合であるxAIを買収し、Anthropicとも契約を結んだ。

報道によると、AnthropicはSpaceXのデータセンター利用の対価として、年150億ドルを支払うことで合意したという。AI企業の上場は、単なる資金調達にとどまらず、計算インフラの確保競争や戦略提携、企業価値の再編とも結び付くテーマに広がっている。

OpenAIは非公開提出を選んだため、詳細な財務情報は当面明らかにならない。ただ、正式に上場プロセスへ入ったこと自体、市場の関心を集める材料といえる。

今後、公開書類で売上成長率やユーザー指標、計算コストの負担、資金需要の計画が明らかになれば、OpenAIのIPOの成否を左右する重要な判断材料になりそうだ。

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