BYDが運転支援システム「God’s Eye」の使用中に発生した事故について責任を負う方針を示した背景には、中国の賠償額を見積もりやすい制度設計と、比較的抑制された医療費があるとの見方が出ている。電気自動車メディアのCleanTechnicaは5日(現地時間)、米国では同様の方針を打ち出すのは当面難しいとする読者の見解を紹介した。

読者の「Matthew2312」は、中国では交通事故の賠償額が算定式や基準表に沿って比較的定型的に算出されると指摘した。死亡補償や後遺障害補償、医療費、葬儀費、逸失利益などが体系的に計算される一方、米国型の懲罰的損害賠償や高額の慰謝料が認められるケースはまれだとしている。

この見方によれば、BYDが掲げる「無制限の責任」は、実際には法的に算定された損害額の全額を負担することに近いものだ。中国では企業が1件当たりの事故コストを比較的正確に見積もれるのに対し、米国では陪審評決によって賠償額が大きく変動しやすく、予測が難しいという。記事では、フロリダ州でTeslaに3億3000万ドル(約495億円)の賠償評決が出た事例も紹介された。

別の読者「neroden」は、米国では医療費も大きな変動要因になると指摘した。米国には国民皆保険の仕組みがなく、医療費が他国の10倍から100倍に達する場合もあるため、1件の事故で実際の医療費が2000万ドル(約30億円)に膨らむ可能性があるという。一方、中国では医療の大半が国家健康保険でカバーされ、医療費も比較的抑えられているため、想定されるコストを管理しやすいとの説明が示された。

中国の訴訟構造も要因として挙げられた。読者の「Midori Mayari」は、中国では弁護士費用や訴訟の長期化に伴うコストを非効率とみなし、これを抑えようとする傾向があると指摘した。標準化された賠償基準は、こうした方向性とも整合するという。

記事後半では、BYDとTeslaの現在の立場の違いにも触れている。BYDは中国国内での信頼や政治的な後ろ盾が大きく、競争でも先行しているため、責任負担の方針を先に打ち出した可能性があるとの見方が示された。一方のTeslaについては、同水準のデータや現地での運用経験が不足しているとの指摘が出た。Teslaは車両の遠隔データ処理を中国国内で行うためのデータセンターを整備した後、数日前にようやく「FSD」と「テスラ支援運転」を中国で広く提供できるようになったという。

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