AMDが、同社初のAIラックシステム「Helios」を年末から顧客向けに出荷する計画であることが分かった。米CNBCが20日(米東部時間)、Microsoftが新たな導入企業に加わったと報じた。
MicrosoftはHeliosを自社データセンターに導入し、フロンティアモデルの推論処理や顧客向けAIワークロード、Azure AIサービスに活用する予定だ。あわせて、AMDの最新CPU「Venice」をベースにした新たなコンピューティングインスタンス2種類も追加する。1つはエージェント型AIとデータパイプライン向け、もう1つは半導体設計向けとして提供するという。
Heliosは、AMDが初めて投入するラックスケールのAIシステムだ。GPU、CPU、ネットワーク、ソフトウェアを統合した構成で、NvidiaのGrace BlackwellやVera Rubinに対抗する製品とみられている。
システムにはMI400シリーズGPUとEPYC CPUを採用する。各コンピュートトレイはInstinct GPUを4基、EPYC CPUを1基搭載し、トレイ当たり最大12基のネットワーキングチップを組み込む。AMDはこれまで、Pensando、Xilinx、ZT Systemsに加え、複数のソフトウェア企業の買収を通じて、HeliosとROCmのエコシステム整備を進めてきた。
AMDはMicrosoftを含む顧客向けに、年末からHeliosの供給を始める計画だ。契約条件や提供する計算資源の規模は明らかにしていない。
導入企業の裾野も広がっている。Metaは2月、AMDのGPUを長期的に最大6ギガワット分利用する方針を示し、年末にはHeliosラックにまず1ギガワット分を導入する計画を明らかにした。OpenAI、Oracle、Tata Consultancy Servicesも年内のHelios導入を表明している。AMDによると、上位10社のAI企業のうち8社が同社のInstinct GPUでワークロードを運用しているという。
AMDはHeliosの競争力として、コスト効率と性能を訴える。データセンター部門を率いるフォレスト・ノロッド氏は、総所有コスト(TCO)とトークン当たりコストの引き下げに注力していると説明した。リサ・スーCEOも5月のインタビューで、Heliosは推論性能やメモリ帯域幅、メモリ関連性能の面でNvidiaのシステムに対して大きな優位性があるとの認識を示していた。
もっとも、市場シェアでは依然としてNvidiaが大きく先行する。Futurum Groupによると、データセンターGPU市場でNvidiaのシェアは95%超に達し、AMDは約4.5%にとどまる。AMDは2026年第1四半期のデータセンター売上高が前年同期比57%増だったと発表している。さらに2027年以降は、データセンターAI関連の売上高が数百億ドル規模で立ち上がり、その大半をHeliosが占めるとの見通しを示した。