写真=ジェレミー・バートン氏

Snowflakeは今年1月にObserveを買収し、オブザーバビリティ市場への本格参入を果たした。これにより、Cisco傘下のSplunk、Datadog、New Relicなどと競合する構図が鮮明になった。Observe創業者で、現在はSnowflakeで同事業を率いるジェレミー・バートン氏は、競争力の源泉としてデータ基盤の優位性とコスト競争力を挙げた。

バートン氏は、6月1日から4日まで米サンフランシスコで開かれた「Snowflake Summit 26」の会場インタビューで、「オブザーバビリティは本質的にデータの問題だ」と指摘した。データが分散・断片化していることが、運用の複雑さやコスト高の主因になっており、Snowflakeの基盤を使うことでその課題を解消できるとの考えを示した。

同氏によると、既存のオブザーバビリティ市場には構造的な制約がある。Splunkはログ分析を起点に、買収を重ねて監視やアプリケーション性能管理の機能を拡張してきた。Datadogは時系列監視を軸に成長し、New Relicはアプリケーション性能管理から領域を広げてきた。こうした各社は異なるアーキテクチャを起点に機能を積み上げてきた結果、利用企業が複数製品を併用せざるを得ないケースが多いという。

その上でバートン氏は、「最初からすべてを単一システムとして設計するなら、データを1つのデータベースに集約する形を選ぶはずだ」と説明した。Snowflakeは半構造化JSON、非構造化データ、時系列データを扱えるうえ、リレーショナルデータベースとしての特性も備えており、こうした統合型のアプローチに適しているとした。

コスト面も強みとして挙げた。バートン氏は「Splunkが1GB当たり月額5ドルを課金していた市場で、ストレージとコンピュートを分離するSnowflakeのアーキテクチャを使えば、50セントまで下げられると考えたのが、2018年にObserveを創業した出発点だった」と語った。オブザーバビリティの費用構造を持続可能なものにするには、最終的に自前のデータ基盤を持つ必要があり、外部のデータプラットフォームにコストを払い続ける構造では採算が合わないとの認識も示した。

AIエージェントの活用についても言及した。バートン氏は「AIエージェントに適切なコンテキストを与えなければ、無駄に探索してトークンコストが膨らむ。整理されたコンテキストを提供できれば、許容可能なコストでより正確な答えにたどり着ける」と述べた。Observeが長年取り組んできたデータの構造化は、人間の利用者だけでなく、AIエージェントに対しても大きな価値を持ち得るという。

今回のSnowflake Summitで、SnowflakeはPG Lakeを正式リリースし、データミラーリングのパブリックプレビューも発表した。

PG Lakeは、PostgresのデータをデータレイクやApache Icebergに移すためのツール群で、オープンソースとしても公開する予定だ。データミラーリングは、Postgres上のデータをボタン1つでSnowflakeに自動複製する機能。バートン氏は「Ericssonでは、データ移動に2日かかっていた作業を7分に短縮した」と説明した。

今後の戦略としては、オブザーバビリティデータとビジネスデータを同一プラットフォーム上で統合分析する方向性を示した。

バートン氏は「2時間のサービス障害が起きたとき、事業への影響額を追加の分析なしにその場で把握できるべきだ」と述べた。「テレメトリーデータとビジネスデータが同一スキーマ上にあれば、その問いにすぐ答えられる」とし、Apache Icebergベースのオープンフォーマットやオープンカタログの普及が進めば、1〜2年以内にこうした統合はさらに容易になるとの見通しを示した。

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