米国のビットコイン現物ETFを通じた機関投資家の保有量が、2026年1~3月期に大きく減少した。一方で、売却の中心はヘッジファンドと証券会社で、銀行は逆に買い越しとなり、投資主体ごとの動きの違いが鮮明になった。
CoinSharesが公表した2026年1~3月期の13F報告書の集計によると、機関投資家の保有量は前期の31万3000BTCから26万1000BTCへ減少し、前期比17%減だった。
ドル建ての保有残高は178億ドルで、前期比35%減。ETF全体の運用資産に占める機関保有比率も24.7%から20.8%に低下し、現物ETFの上場以降では四半期ベースで2番目の大きな落ち込みとなった。
こうした減少は、ビットコイン価格の調整局面と重なった。ビットコインは1~3月期に22%下落し、期末時点では約6万8000ドルだった。2025年10月に付けた過去最高値の12万6000ドル超と比べると、下落率は約50%に達する。CoinSharesはこれを「ETF時代で初の本格的な調整局面」と位置付け、機関投資家の対応も過去の価格サイクルで見られた行動パターンに近いと分析した。
売却を主導したのはヘッジファンドと証券会社だ。保有減少分の約95%がこの2業態に集中した。ヘッジファンドは前期比39%減に当たる3万1000BTC相当を削減した。期末に無期限先物の資金調達率がマイナスへ転じ、ベーシス取引の収益性が悪化したことが響いたという。CoinSharesは、AI関連資産や貴金属など他の資産クラスに資金が移ったことも背景に挙げた。
証券会社の保有は53%減少した。Morgan Stanleyが保有していた8300BTC相当を全量売却したことが主な要因とみられる。一方、投資顧問会社の保有量は15万300BTCと、前期比5.9%減にとどまった。前年同期比では20%増で、13F提出機関全体の約58%を占め、最大の比率を維持した。CoinSharesはこの動きを、構造的な長期保有を示すものと評価した。
中でも目立ったのが銀行の動きだ。銀行部門は7800BTC相当を純買い越しし、総保有量は1万5200BTCに増えた。前年同期比では339%増となった。JP Morgan Chaseは3000BTC、Wells Fargoは4000BTCをそれぞれ積み増し、イタリアのIntesa Sanpaoloも1600BTC相当を新たに組み入れた。
銀行以外でも、新たな買い手の動きがみられた。Citigroupは初めて13Fを提出し、97BTC相当の保有を開示した。アブダビのMubadala Investment Companyは1100BTCを追加購入し、国家・政府系部門の保有量は合計8300BTCに増加した。
一連の動きは、機関投資家の内部でも資金の性格によって方向感が分かれたことを示している。価格調整局面でヘッジファンドや証券会社がエクスポージャーを機動的に縮小する一方、銀行や一部の長期資金は保有を積み増した。今後のビットコイン現物ETFの需給を見極める上では、機関マネーの総量だけでなく、どの性格の資金が残り、新たに流入するのかが焦点になりそうだ。