電動自転車が、充電コストの安さだけでなく、自動車の保有・利用コストを抑える手段として注目を集めている。短距離移動を車から電動自転車に切り替えることで、燃料費に加え、整備・修理費や駐車費も削減でき、年間で数百ドル規模の節約につながるとの分析が示された。
米電気自動車メディアのElectrekは6月3日(現地時間)、年間4000マイル(約6400キロ)分の車移動を電動自転車で代替した場合、燃料費と維持費で約900ドルを節約できると報じた。
同メディアは、電動自転車の購入を検討する際、充電費とガソリン代だけを比較しがちだが、それだけでは実際の経済性を十分に捉えられないと指摘する。節約効果の中心は、車の走行距離が減ることで生じる維持費の圧縮にあるという。
試算によると、米国の平均燃費を1ガロン当たり25マイル、ガソリン価格を1ガロン当たり3.25ドルとした場合、4000マイルの走行には約160ガロンが必要となり、年間の燃料費は約520ドルとなる。
一方、電動自転車の消費電力は1マイル当たり約20~30Whとされる。4000マイルの走行に必要な電力量は約100kWhで、米国の平均的な家庭用電気料金を当てはめると、年間の充電費は約17ドルにとどまる。燃料費だけを比べても、差額は500ドル超に達する計算だ。
さらに車の維持費を加味すると、節約額は一段と大きくなる。米自動車協会(AAA)は、整備・修理やタイヤ交換などの費用が1マイル当たり約10セントかかると推計している。年間4000マイル分の走行を減らせば、約400ドルの維持費を削減できる。
これに燃料費の削減分を合わせると、年間の節約額は約900ドルに達する。
都市部では、駐車費の削減も見込める。有料駐車場を頻繁に利用する場合は、数百ドルから数千ドル規模の追加負担を抑えられる可能性があり、節約効果はさらに大きくなり得る。
電動自転車の経済性は、2台目の車を不要にできる場合にいっそう際立つ。米国では新車ローンの返済額が月700ドルを超え、保険料としてさらに月数百ドルがかかるケースもある。登録費、整備費、修理費、燃料費まで含めると、2台目の車の維持には年間8000~1万2000ドルを要する可能性がある。
これに対し、電動自転車の購入費は一般に1500~3000ドル程度で、充電費は事実上無視できる水準とされる。家庭によっては、電動自転車を活用して2台目の車の購入を先送り、あるいは見送ることで、1~2年で投資額を回収できるとの見方もある。
もっとも、電動自転車があらゆる移動需要を代替できるわけではない。長距離通勤が多い場合や、自転車インフラが十分でない地域、大きな荷物を運ぶ機会が多い環境では活用に限界がある。複数の家族を同時に移動させる必要がある場合も、車の役割を完全に置き換えるのは難しい。
それでも専門家は、日常の短距離移動だけでも電動自転車に切り替えれば、相応の効果が見込めるとみている。食料品の買い出しやテイクアウトの受け取り、週に数回の通勤など、短い車移動を置き換えるだけでも、節約効果は着実に積み上がるという。
特に短距離走行は、内燃機関車が冷間始動のまま走るケースが多く、燃費が悪化しやすい。このため、実際の節約効果は試算以上に大きくなる可能性がある。加えて、時間の節約、駐車のしやすさ、身体活動の増加、ストレスの軽減など、金額に換算しにくい利点もある。
Electrekは、電動自転車について、単なる低コストの移動手段にとどまらず、自動車依存を下げ、家計の支出構造そのものを変え得る選択肢だと評価した。人工知能と電気自動車の時代が本格化するなかでも、電動自転車は費用対効果の高い個人向けモビリティとして存在感を高めているとしている。