写真=Snowflake SummitでAIガバナンス関連の新機能を発表したSnowflake

【サンフランシスコ】Snowflakeは、年次カンファレンス「Snowflake Summit」で、AI活用とガバナンスの両立を支援する新機能を発表した。データを複製せず共有できる「ゼロコピー共有」や、Snowflakeアカウントを持たない相手ともデータを共有できる「Open Sharing」を投入したほか、「Horizon Catalog」も更新し、企業内外のデータ資産の接続やビジネス文脈の付与、ガバナンス設定の自動化を強化する。

企業のAI導入が広がる中、適切な統制なしには本番利用が進みにくい一方、統制を厳しくしすぎると現場での使い勝手を損なうという課題がある。Snowflakeは、こうしたジレンマを解消するため、細かな制御と自動化によって実用的なAIガバナンスを実現したい考えだ。

Snowflakeでコラボレーション/ガバナンスソリューション「Horizon」事業を統括するプラサナ・クリシュナン氏は、会場で報道陣の取材に対し、「ガバナンスが強すぎれば活用は止まり、なければ統制が効かなくなる」と指摘した。そのうえで、「きめ細かな制御と設定の自動化が、そのバランスを可能にする」と語った。

今回発表したゼロコピー共有は、データをコピーや移動をせずに直接共有できる仕組みだ。クリシュナン氏は「データを複製しないためガバナンス負荷を抑えられ、即時アクセスも可能になる」と説明した。Fidelityでは、外部から受け取るデータをすべてゼロコピー方式に限定して運用しているという。

Open Sharingは、共有先をSnowflake利用者以外にも広げる機能だ。クリシュナン氏は、ゼロコピー共有とOpen Sharingについて「いずれもデータを移動させずに協業範囲を広げる点が共通している」と述べた。

あわせてSnowflakeは、AIエージェントのガバナンスやデータの文脈理解、セキュリティ統合を柱とするHorizon Catalogの更新も発表した。クリシュナン氏によると、今回の強化ポイントは「企業全体のデータ資産の接続」「Horizon Context」「ガバナンス」の3つに大別される。

まず、社内外に分散するデータをHorizonに接続できるようにした。Snowflake外にあるデータについてもメタデータを取り込み、共通の文脈とガバナンスを適用できるようにする。Icebergテーブルが外部カタログ上にある場合でも、PolarisやIceberg APIを通じて、Snowflakeと同様のマスキングやガバナンスを適用できるという。Amazon Redshiftに保存されたデータも、Cortexから参照可能とした。

Horizon Contextは、AIが企業のビジネス文脈を理解するための機能だ。企業全体のデータ資産からメタデータを収集し、データの流れを示すリネージ情報も加えることで、メタデータを拡充する。これにより、AIによる問い合わせやBIクエリの実行時に、必要な文脈を自動的に反映できるようにする。

クリシュナン氏は、セマンティックビューの自動生成機能についても説明した。既存のメタデータやBIツール内の業務定義を自動収集し、セマンティックビューのドラフトを作成するため、利用者は最終承認や一部修正に注力できるという。また「Cortex SenseはSnowflake内のクエリ履歴を分析し、データ間の関係を把握する。利用が増えるほど精度も高まる」と述べた。

ガバナンス面では、「設定の難しさ」が導入の障壁になってきたとして、「意図主導ガバナンス(intent-driven governance)」を打ち出した。利用者が自然言語で求めるガバナンス要件を入力すると、Snowflakeがそれに沿った仕様を定義し、関連するSQLを生成する。さらに継続的に監視し、設定が意図から外れた場合には通知する仕組みだ。

クリシュナン氏によると、ガバナンス設計は「認知」「保護」「監査」の3段階で構成される。まず機微データの所在を把握し、次にカラムマスキングなどの細かなアクセス制御を適用する。AIエージェントがデータを参照する場合も、役割に応じてマスキングの有無を切り替えられる。監査段階では、データへのアクセス主体が人かエージェントかを区別して確認できるとしている。

同氏は、企業全体でデータからインサイトを得て実行につなげるには、AIモデルだけでは不十分だとも強調した。「AIモデルに加え、適切に管理されたデータ基盤、ツールやアプリケーションを呼び出す機能、それらを調整するオーケストレーターが必要になる」と述べた。

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