写真=Helion Energy

米核融合スタートアップのHelion Energyは、シリーズGで4億6500万ドル(約698億円)を調達した。企業価値は155億ドル(約2兆3250億円)。調達資金は、ワシントン州で進める初の商用発電所「Orion」の建設に充て、2028年の送電網への核融合電力供給を目指す。

米TechCrunchが4日(現地時間)に報じた。Helion Energyは今回の調達を通じて、商用発電所計画を前進させる考えだ。

今回のラウンドはThrive Capitalが主導した。新規投資家として、Alta Park Capital、Anti Fund、BoxGroup、Lux Capital、Peak XV Partnersのほか、Ford Motor会長のビル・フォード氏が参加した。

既存投資家では、SoftBank Vision Fund 2、Lightspeed Venture Partners、Mithril Capitalなどが追加出資した。Helion Energyは2025年1月にも4億2500万ドル(約638億円)を調達しており、累計調達額は約15億ドル(約2250億円)に達した。

同社が注目を集める一因が、Microsoftとの電力供給契約だ。両社は、Helion Energyが生産する核融合由来の電力をMicrosoftのデータセンターに供給することで合意しており、同社は2028年までの実現を掲げる。

商用化の時期を2030年代半ば以降とみる核融合企業が多い中で、この計画は野心的な日程と受け止められている。

技術面でも、Helion Energyは他社と異なる方式を採用する。多くの核融合企業は、超高温プラズマで生じた熱を使って蒸気タービンを回し、発電する方式を研究している。

これに対しHelion Energyは、核融合反応で膨張したプラズマが磁場を押し広げる力を利用し、電力を直接回収する方式を開発している。同社はこの方式によって、発電効率の向上と設備の簡素化が可能になるとしている。

一方で、この技術の検証はなお不十分だとの見方もある。核融合研究者の一部は、Helion Energyについて、査読を経た学術論文の公表が限られており、外部から技術的妥当性を評価しにくいと指摘する。

これに対し、デイビッド・カートリーCEOは昨年、「核融合を理論として語るだけでなく、実際に実現したい」と述べ、実証を重視する姿勢を強調していた。

足元では、核融合分野への大型資金流入も続く。Focused Energyは2億4000万ドル(約360億円)、Thea Energyは1億ドル(約150億円)の資金調達をそれぞれ発表した。

2月にはInercia Energyが4億5000万ドル(約675億円)のシリーズA調達を公表した。Type One Energyも2億5000万ドル(約375億円)のシリーズB調達を進めているとされる。

核融合は、太陽と同じ原理でエネルギーを生み出す技術だ。燃料となる水素同位体を用い、ほぼ無尽蔵に近い電力を生み出せる次世代エネルギー源として期待されている。AIの普及でデータセンターの電力需要が急増していることもあり、ビッグテックの関心は一段と高まっている。

もっとも、商用化にはなお時間を要する分野でもある。複数の企業が商用発電に向けた節目の達成を公表しているが、初の商用規模の発電所稼働時期は、早くても2030年代半ばとみる向きが多い。

そうした中で、Helion Energyは2028年という前倒しの計画を打ち出した。核融合の商用化には依然として技術的なハードルが残るものの、電力需要の拡大と脱炭素化の流れを背景に、関連企業への投資熱は当面続きそうだ。今回の調達は、核融合が長期課題である一方、将来のエネルギー市場の有力候補として評価されていることを改めて示した。

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