魔法の杖を模したCash AppのNFC決済タグ。写真=Cash App

Block傘下の決済サービス「Cash App」は6月4日(現地時間)、魔法の杖を模したキーホルダー型のNFC決済タグを発売した。価格は25ドル(約3750円)。Cash Appカードと連携することで、Visaのタッチ決済に対応する実店舗で利用できる。

TechCrunchによると、今回の製品は同社が今後拡充するタグ型決済ハードウエアの第1弾に当たる。スマートフォンや物理カードを取り出さず、タグをかざすだけで支払いを完了できる点を訴求する。

タグはCash Appアプリでペアリングして有効化する仕組みで、最低残高要件は設けていない。利用シーンとしては、移動が多くスマートフォンを取り出しにくいコンサート会場やスポーツ競技場などを想定している。

Blockでハードウエア部門を率いるトーマス・テンプルトン氏は声明で、「デジタルウォレットは目に見えず、物理カードは財布の中にしまわれている」とした上で、「Cash Appのタグはそれとは逆の体験を提供する」と説明した。さらに、「決済を可視化し、社会的な行為として成立させる独特の機会になる」と述べた。

セキュリティ機能も備える。利用のたびに即時通知を受け取れるほか、アプリからタグのロックや再有効化が可能。紛失時には遠隔で無効化できる。Cash Appは、タグによる決済でもカード利用と同水準の不正利用監視を提供するとしている。

今回の投入は、単なるアクセサリー追加にとどまらず、新たな決済ハードウエアの実験という位置付けでもある。Cash Appは今後数カ月以内に、異なる形状のNFC決済タグを追加投入する計画だ。

一部製品は限定版として販売し、反応の良いモデルは定番商品として継続販売する方針という。

この取り組みは若年層の取り込みとも重なる。Cash Appは2021年にティーン向けアカウントを導入し、2026年には6〜12歳向けに保護者の管理機能を備えたデビットカードも発売した。今回のタグも、実用性に加えて遊び心や自己表現の要素を組み合わせ、Z世代への訴求を狙った製品とみられる。

デジタル決済の不可視化が進む中、Cash Appは決済体験をあえて“見える”形にする方向を打ち出した。決済機能をスマートフォンの中に閉じ込めず、日常的に身に着ける物理的なツールへ広げる試みとして、その広がりが注目される。

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