Arthur Hayes氏の投資会社Maelstromは、Worldcoin(WLD)の目標価格を5ドルに設定した。OpenAIやAnthropicなど主要AI企業の新規株式公開(IPO)期待を背景に、WLDをAI関連の値動きを映す代表的な代理銘柄と位置付けている。
Cointelegraphが4日(現地時間)に報じたところによると、MaelstromのリサーチャーであるLucas Rupert氏は最近のレポートで、「大手AI企業のIPOが近づいている一方、市場は最も分かりやすいAI代理資産の一つを見落としている」と指摘し、WLDの上昇余地に言及した。
Maelstromが注目する背景には、米AI企業の上場機運がある。OpenAIは5月、米証券取引委員会(SEC)に上場関連書類を非公開で提出し、2026年9月の上場を目指していると伝えられている。調達額は最大600億ドル、企業価値は最大1兆ドルを視野に入れるとされる。
競合のAnthropicについても、最近になって上場草案を非公開で提出したと報じられた。先月の資金調達後の企業価値は約9650億ドルと評価されている。
AI関連株の強さも追い風だ。米株式市場ではAIインフラやメモリー半導体関連銘柄が相場をけん引し、S&P 500種株価指数は過去最高値を更新した。Maelstromは、こうしたAI投資熱がWLDにはなお十分反映されていないとみている。
WLDは、OpenAIの最高経営責任者(CEO)Sam Altman氏が共同創業したWorldcoinのネイティブトークン。Worldcoinは、AIボットと実在の人間を見分けるグローバルなデジタルIDと金融ネットワークの構築を掲げている。
もっとも、WLDは年初来で軟調に推移してきた。特に3月にWorldcoinが店頭取引(OTC)でトークンを売却し、6500万ドルを調達して以降は下押し圧力が強まった。売却分の一部には6カ月のロックアップが設定されたものの、投資家が価格下落リスクをヘッジするため無期限先物市場でショートポジションを積み増し、売り圧力につながったとの見方がある。
Rupert氏はこれを「典型的なショートのオーバーハング」と表現し、今後の解消余地に注目する。Maelstromは、需給改善を促し得る要因として二つを挙げた。
一つは追加の買い需要だ。上場企業Aitcoはすでに2億8300万WLDを保有しており、約1億4400万ドルの現金を追加購入に充てられると伝えられている。Maelstromは、Aitcoがショート比率の高いトークンを継続的に買い進めれば、いわゆるショートスクイーズが発生し、価格上昇を後押しする可能性があるとみている。
もう一つは供給の縮小だ。Worldcoinの1日当たりのトークン流通量は、7月24日から約43%減る予定。Maelstromは、この措置が市場における主な売り圧力を和らげる要因になり得ると分析した。
足元の市場反応も強い。WLDは直近1週間で、時価総額上位100の暗号資産の中で最も高い騰落率を記録し、約60%上昇した。Rupert氏は「市場はOpenAIとAnthropicへのエクスポージャーを積極的に探している」とした上で、「数千億ドルから最大1兆ドル規模のAI企業価値と比べれば、WLDの完全希薄化後時価総額はなお小型株の水準にとどまる」と評価した。
さらに同氏は、WLDについて「上値余地に対して下値リスクが限られる投資機会」と説明した。ただし、この見方はAI企業の上場期待が続き、ショートの需給負担が和らぎ、供給減少と追加の買い需要が実際の需給改善につながることが前提になると付け加えた。